名古屋港外貿埠頭(ふとう)とフェリー埠頭の建設・管理などを行う名古屋港埠頭株式会社が3日、設立された。港湾の民営化と公益法人制度改革の一環として、前身である財団法人名古屋港埠頭公社から全業務を引き継ぐ。埠頭公社は、業務の承継を完了後、12月31日に解散する予定。
国土交通省は10月26日に、コンテナ貨物の積み降ろしなどを行う特定用途港湾施設の建設に必要な資金を無利子で貸し付ける相手先として同社を認定した。同社の主な業務は、外貿埠頭とフェリー埠頭やコンテナ蔵置施設などの物流施設、荷役機械などの荷役施設の建設・賃貸・管理運営。
新会社の所在地は、埠頭公社と同じ名古屋市港区空見町40。代表者は、公社の山田孝嗣理事長が務める。
港湾の民営化は、国土交通省が港湾の国際競争力の強化を目的に進めている。今回、埠頭公社を株式会社化したのも、港湾の民営化の一環だ。2011年には、港湾の運営を民間事業者が担う港湾運営会社制度が創設された。中部地域では、国際拠点港湾に指定されている伊勢湾内の名古屋港と四日市港が、同制度導入の検討対象となっている。今回民営化した名港埠頭をはじめ、複数のコンテナターミナル(CT)の運営主体がひしめく名古屋港では、港内のCTを一元的に管理し、荷役機械などの整備を担当する港湾運営会社の構想も検討が進んでいる。
名港埠頭は、名古屋港内のほかの埠頭運営会社や国、名古屋港管理組合とともに、名古屋港コンテナターミナル運営民営化協議会で、港湾運営会社の在り方について検討している。10月には名港管理が、港湾運営会社を設立した場合の組織形態などに関する調査をみずほ総合研究所(東京都千代田区)に委託した。今後、先行事例などを参考にしながら協議を深め、12年度末には設立の是非も含めた方向性を決定する見通し。
提供:建通新聞社