伊賀市は「新芭蕉翁記念館」(仮称)事業計画について、新たに建設候補地や建設計画などを検討するため2012年度内に検討委員会を立ち上げる。従来から検討していた同計画の予定候補地が11年度に白紙となったため、候補地の選定を含めて再検討するもので、事業計画の方向性をまとめた上で、事業化を検討することになる。このため次年度以降のスケジュールは未定としている。現在、検討委員会の一般市民(4人以内)を対象とした委員の募集応募を29日まで行っている。担当は市企画財政部企画課。
現在の芭蕉翁記念館は、1959年に上野公園内で開館。以後、50年が経過し、老朽化への対応とともに文化の創造拠点となる記念館を新たに建設するため、07年度から検討を開始した。基本構想を経て、09年度に施設計画や展示計画などを盛り込んだ基本計画を作成し、現在地より北側の桃青中学校跡地を予定地として文化庁との協議も進めていた。しかし、上野公園と新記念館を結ぶ連絡橋の建設が史跡の改変につながるなどの理由から12年2月に予定地での建設を断念した経緯がある。
今回発足する検討委員会は有識者、県関係、一般市民など12人以内で構成し、1年をかけて、候補地の選定、施設計画、展示計画などを検討する。候補地としては民地も含めて2000平方b以上の土地を候補として挙げていく考え。展示の基本コンセプトや展示計画は09年度の基本計画をたたき台にしていく予定。
当時の基本計画では、記念館の位置付けとして、まちなかの周遊の拠点化、芭蕉文学と俳句文芸の拠点化、生涯学習支援、学校教育連携を基軸とした施設の在り方を提言していた。施設計画では、十分な空間確保を考慮して延べ2000〜2200平方b程度を想定し、映像シアターなども含めた展示手法などを挙げていた。新記念館の施設計画については予定地の敷地形状に左右されるため、一からの検討となる。
現在の記念館は伊賀市上野丸之内117ノ13の上野公園内にあり、鉄筋鉄骨コンクリート造平屋、本館・別館で延べ約425平方b。敷地面積1800平方b。年間入場者数は1万2753人(11年度実績)。以前より新記念館の構想が持ち上がっていたが、04年の伊賀市の合併時に策定された総合計画で新施設の計画が位置付けられた。
提供:建通新聞社