日本工業経済新聞社(群馬)
2012/11/19
【群馬】土砂堆積など規制へ−高崎市
高崎市は16日、「高崎市土砂等の堆積の規制に関する条例」の制定を目指すことを明らかにした。同日の市議会建設水道常任委員会に報告したもので、災害防止や住民生活の安全確保、生活環境の保全などを目的に、500u以上の土地の区域における土砂などの盛土や埋立を行う事業について、市長の許可が必要となるようにする。今後、12月5日から来年1月11日にかけて条例案に対するパブリックコメントを実施する方針で、早期の施行を目指していく。
「高崎市土砂等の堆積の規制に関する条例」案では、500u以上の土地の区域における土砂などの盛土や埋立といった堆積を行う事業を対象としており、市長の許可が必要となるようにする。土砂の搬入のみを規制する現行法令がなく、事業者への指導には限界があり対応に苦慮している状況だ。首都圏で発生したと思われる大量の建設残土が搬入されるといった事案が吉井町上奥平地域や鼻高町の観音山丘陵などで起こっており、市議会一般質問でも島道雄議員や木暮孝夫議員が条例制定の必要性を指摘していた。
建設残土の大量搬入により、大型車両の大量通行に伴う生活環境の悪化、土砂への廃棄物混入、土砂崩落などが懸念されていることも踏まえ、無秩序な残土の搬入を防ぎ、生活環境を保護するとともに、環境汚染や災害発生を防止する効果が極めて高いと判断した。県内では桐生市や藤岡市、板倉町、邑楽町で同様の条例が制定されており、いずれの自治体においても制定前と比較して土砂の搬入が減る抑止効果があったという。これらの先進条例を参考に「500u以上の土地の区域」を対象とした。搬入元については県内外を問わない。
許可申請予定者に対しては、申請前に市および近隣住民との事前協議を義務付ける。許可に際しては、土砂などの堆積方法や生活環境・自然環境への影響、土壌汚染などの公害防止の措置、事業者および請負人の資力・信用、土地所有者の同意など多岐にわたって審査を行う。市長が許可をする場合は申請に対して、有識者で組織する「高崎市土砂等の堆積審議会」の議決を経ることとする。許可後は工事着手時および完了時の現場検査、施工中の土質検査も義務付け、廃棄物や有害物質の混入を防ぐ。
許可内容に従わずに事業を行った場合、無許可で事業を行った場合、有害物質の混入した土砂を堆積した場合などにおいては、市長が土砂などの堆積停止や除却など必要な措置を命じることができるようにする。条例の各規定に違反した者には、最高で2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処することができるようにする罰則規定も設ける。
制定に先立ち、条例案に対するパブリックコメントを12月5日から来年1月11日まで行う。案の資料は今後、市ホームページや開発指導課などで公表していく。市は「想定しきれていない部分もある。いろいろな意見を聞きたい」と話している。