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北海道建設新聞社
2012/11/14

【北海道】重金属処理に分岐トンネル案採用−札幌市が小林峠トンネルで 

 こばやし峠トンネルから搬出される重金属を含む土砂の処理方法を検討してきた市建設局は、分岐トンネル掘削案の採用を決めた。整備延長は約500―600mで、工事費には約12億―13億円を試算している。
 道道西野真駒内清田線で整備を進めているこばやし峠トンネルは、延長が1612m、幅員が車道7・5m、片側歩道2・5mの計10mで、内空断面は71m²。工事費は約27億円で、清水建設・堀口組共同体が2011年秋から本工事に取り掛かり、ことし11月までにNATM工法により512mを掘り進めた。
 しかし同トンネルから搬出される掘削ずりの一部には、土壌汚染対策法に定められた土壌溶出量基準を超過する重金属のヒ素や鉛、セレンなどが含まれることが判明。総量は約5万m³に上る見通しとなっている。
 同局は当初、中ノ沢採石場跡地でこの土砂を処分する計画だったが、地域住民などからの根強い反対を受けて、別の処理方法としてトンネル下部を掘り下げて埋め立てる案と、分岐トンネルを掘って埋め立てる案の2パターンを検討。
 このうち下部案は、安全性確保のための構造や詳細な施工計画の検討が必要になるなどの理由から採用を見送った。
 一方の分岐トンネル案は国道などでの採用実績もあり、同局が実施した調査によると、分岐トンネルを予定する箇所の地盤に問題はないことが確認されたことから、採用を決めた。
 整備延長は約500―600mを想定。内空断面の大きさにもよるが、トンネルを2、3本掘ることも検討している。内空断面など詳細はまだ固めていないが、断面に遮水シートを施すなどで搬出土砂を封じ込める。
 本トンネルで基準値を超える土砂が搬出される箇所まで掘削が到達するのは来年2月ごろとみられ、それまでには費用面なども勘案し、内空断面や分岐トンネルの本数を確定する。掘削工事は、本トンネル掘削の設計変更で対応する考えだ。
 トンネルと接続道路の整備は15年度中の完了を予定しているが、分岐トンネルを新設することによって、全体の整備スケジュールが変更になる可能性もある。