日刊建設工業新聞
2012/11/12
【鳥取】県が見直し素案から企業経営や受注額を修正/建設工事の総合評価方式 若手育成で雇用項目を新設する一方で地域貢献、技術者数は廃止
県土整備部は建設工事(土木系)に適用する総合評価方式の見直し案をまとめた。8月時点の改正素案を業界からの意見を踏まえて修正。簡易評価型では「企業経営点」「受注額点」などで修正を加えたほか、新項目「雇用」(1点)を創設し、新卒者採用や雇用確保に加点する。また、「技術者数」「地域貢献度(除雪、災害対応)」は素案通り廃止。
7日、これらの修正案を県建設業協会に説明した。今月中には改正案を固め、12月中に県下で説明会を開催する。見直しの施行時期は、簡易評価型が2013年度から、地域密着型は12年度中に全面移行する。
簡易評価型の主な修正内容は、「会社工事成績点」で工種によって対象期間が異なっていたが、土木系は全工種過去3年間の平均値とする。過去3年に工事実績がない場合は、最長で過去5年間に延長。それでもなければ、大半の会社が集まる工事成績群の中から最小値とし、仮に12年度は68点であると説明した。毎年更新する。
焦点の一つ「企業経営(P点)」(2点)は、算出方法を見直して「3×(入札参加者のP点−P点の下限値)/(P点の上限値−P点の下限値)」(=上限値、下限値は発注工種、各クラスに応じた控除後の数値。12年度土木一般A級の場合、控除数値は830点)。素案では上位と下位業者の評価を急激に縮小させる形となっていたが、修正案は算定法をあらためると同時に配点を3点に引き上げ、現行での評価に近づくことになった。
また、「技術者数」(2点)の評価は、企業経営の中に含まれ「二重評価になる」(同部)として廃止。代わって「雇用」(1点)の項目を新設する。若手技術者の育成や雇用を懸念する声が多く寄せられており、「新卒者の雇用」に0・5点、新規雇用で雇用者数が前年度よりも増加すれば「雇用確保の実績」として0・5点をそれぞれ配点する。
「受注額点」では、受注額のベース(分母)を過去5年間の県工事最大年間受注額としていたが、修正案は過去3年間の県工事年間受注額の平均額か、生産指標額(×k1)のどちらかを選択できるよう見直した。また生産指標額の算定でも、現行は過去3年間の完工高に対し「直前年」の発注工種の完工高割合で案分しているが、改正案では単純に過去3年間の完工高を発注工種の完工高割合で案分する。
「地域点」は、県下3ブロック間の格差2点を4点に引き上げ、東部と八頭間、西部と日野間の差1点も3点に格差を広げる。例えば東部管内の現場の場合、4点=東部管内の業者、1点=八頭管内の業者、0点=東部・八頭以外の業者。
新設の地域密着型総合評価でも一部素案を修正する改正案をまとめた。「会社同種工事実績点」2点を1点に引き下げ。実績は素案の過去5年間を過去15年間に延長。県、国だけでなく、市町村工事の同種工事も評価する。同種工事の例は、河川修繕工事の場合、河川修繕や河川改修などの実績を認める。「地域点」も東部と八頭間、西部と日野間の差を3点に拡大(素案では2点)する。
また、技術提案評価型総合評価については素案通り。
今後のスケジュールは、県建協会に次いで部落解放鳥取県企業連合会(企業連)、専門工事業などの関係団体と修正案について意見交換。今月下旬には県建設工事等入札契約審議会に改正案を諮り、12月中に次年度以降の入札参加資格申請説明会と合わせて改正案を説明する。施行時期は技術提案型を13年度から本格的に実施し、地域密着型は12年度中の適用。簡易評価型は12年度内は改正案の周知を図り、13年度から全面運用する。