日本工業経済新聞社(茨城)
2012/11/10
【茨城】八間堀川、仲の塚橋改築へ 利根川県域の事業再評価
県河川整備計画検討委員会(委員長・西村仁嗣筑波大学名誉教授)の本年度初会合がこのほど開かれ、利根川圏域の事業再評価が審議された。前回評価以降の対応状況や今後の事業方針などを、所管の県土木部河川課が委員へ説明。同圏域のうち、八間堀川は仲の塚橋、向堀川は仲の橋の改築などを計画し、相野谷川は15年度ごろまでにJR常磐線橋梁を改築する方針。
事業の再評価は、利根川圏域が前回の評価から5年が経過したことから実施。2007年度に行った事業評価に対する対応状況や費用対効果の変化などを中心に、事務局が説明。9河川のうち、事業休止中の4河川を除く5河川を説明した。
そのうち八間堀川は、鬼怒川合流点から瑞穂橋の延長15・38qで1963年度から事業を実施。前回の評価を受けて、向妙見橋の改築、向妙見橋上流の掘削、堤防を整備。総便益(B)の1009億円に対し、総費用(C)が363億円で、費用対効果(B/C)は2・8。全体工事費の見直しや単価の年次修正で前回の2・6より高くなった。
今後は、ネック部となっている仲の塚橋の改築や河道拡幅などを進める。
相野谷川は、主要地方道取手東線の相野谷川橋上流から県道水海道取手線の八丁橋下流にかけて79年度から実施。これまでに川戸橋上流から行善田橋の掘削、堤防、護岸と井野根堰改築や暫定掘削を実施。総便益(B)の307億円に対し、総費用(C)が178億円で、費用対効果(B/C)は1・7。
今後は15年度ごろまでにJR常磐線橋梁を改築する。その後、ネック部である国道6号橋梁を改築し、河道拡幅を継続して進める。
向堀川は、泉橋から県道東野田古河線(緑橋)の延長1・9qを対象に、84年度から事業着手。これまでに県道古河総和線上流から鹿養上橋の掘削、堤防、護岸に取り組んでいる。総便益(B)の148億円に対し、総費用(C)が44億円で、費用対効果(B/C)は3・3。今後はネックとなっている仲の橋の改築や河道拡幅を進める。
女沼川は、利根川合流点から国道354号(辺見橋)の延長5・5qを対象に92年度から事業着手。これまで八幡橋から八幡東橋の掘削、堤防、橋梁を実施してきた。総便益(B)の122億円に対し、総費用(C)が66億円で、費用対効果(B/C)は1・9。
今後は国土交通省へ新釈水樋管の早期完成を働きかけながら、2023年度ごろの事業完了を目指して、引き続きネック橋梁など構造物の改築や河道改修を進める。
飯沼川は、法師戸水門から西仁連川合流点までの延長10qを対象に1978年から実施。これまで自然博物館上流から反町横堤の右岸堤防、小堤工、小水路工を実施している。総便益(B)の286億円に対し、総費用(C)が215億円で、費用対効果(B/C)は1・3。
今後は、陸地化による動植物への影響などを整理し、事業の問題点を再整理して、効率的な整備手段の検討を行うことが説明された。
なお県河川課では今回の審議を踏まえ、来年2月の第3回委員会でその対応を説明し、同じく審議した利根川圏域とともに承認を得たい考え。また昨年審議した久慈川圏域の河川整備計画策定については、12月ごろにも第2回委員会を開いて委員から承認を得た後、年度内に国へ認可申請を行う予定。