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建通新聞社(中部)
2012/11/09

【愛知】中部地整 濃尾平野の排水計画を検討

 国土交通省中部地方整備局は、南海トラフ巨大地震に伴う津波や高潮による広範囲な浸水を想定し、濃尾平野を対象とした排水計画を検討している。排水計画には、災害時の復旧計画・工法とともに、被害を最小限に抑えるための事前対策などを盛り込む。こうした災害に対応するには、国の機関や自治体だけでなく、建設業者なども含めた協力が必要となっており、従来の災害協定に加えて新たな連携体制の構築が求められる。2012年度末を目標に計画を策定する。
 浸水を想定するのは、名古屋市南部や愛知県西部の海部地域などの海抜ゼロメートル地帯が中心。東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会が09年に高潮を想定して策定した危機管理行動計画をベースに、大規模地震による浸水への対応などを加えて排水計画を策定する。また、堤防復旧ルートの構築などに関するハード面の整備については、木曽三川下流部広域防災ネットワーク検討会が11年に提出した報告書を参考にする。
 大規模地震による浸水の場合、高潮による一部の破堤とは異なり、広い範囲で堤防・道路などのインフラが機能しなくなる可能性がある。このため排水計画では、複数のパターンの被害状況を想定し、堤防天端道路や防災拠点などの状況を整理する。
 さらに、排水計画の中で被災から3日以内をめどとした堤防復旧計画を作成する。排水作業の前提となる、海域からの遮断手法や、堤防の緊急復旧に必要な資機材の調達・搬入方法、鋼矢板などを活用した復旧工法などを計画の中に位置付ける。特に復旧資機材の調達・搬入に関しては、付近の建設事業者の協力が必要となるため、連携体制の構築も課題だ。
 ポンプ排水計画では、ブロック割や必要排水量の算出、排水ポンプ車の配置などを検討する。効率的に排水作業を進めるため、既設排水機場の位置・能力の把握や、被災時に稼働できるかどうかの確認なども必要となる。
 災害前に可能なハード面の整備としては、老朽化した堤防の改良や、排水作業などの拠点となる防災ステーションの設置、堤防天端へのアクセス路の整備、防災船着場の整備などが考えられる。

提供:建通新聞社