名古屋市市民経済局は2日、名古屋テレビ塔の今後の活用方策を検討するため設けた有識者懇談会(座長・奥野信宏中京大学教授)の第2回会合を開き、課題となっている耐震改修について、市が実施した調査の結果を提示、工法は免震工法が適切だとし、費用は約23億円とした。
耐震改修の工法は、耐震補強、制振工法、免震工法の三つを比較。外観への影響や性能確保の面から免震工法が適切だと判断した。費用は、テレビ塔株式会社の試算では約15億円としていたが、市の試算では塔体重量の精査、内装工事・設備更新の対象範囲の見直し、塔体塗装の追加などにより約23億円と積算した。内訳は、1階床・外構の一時解体・復旧、地下鉄沿線計測などを含めた耐震改修工事費が約10億1800万円、関連工事費が約12億7400万円。
今後の市の対応は、市が塔体を所有する場合としない場合を比較した。市が所有する場合、同局はPFI方式で整備・維持管理運営することが最も適当であるとの考えを示した。所有しない場合は、現在の所有者・運営者に補助金を交付することになる。
PFI方式の場合、安定的・永続的な維持が可能で、久屋大通公園や道路との一体的な活用が可能。市が所有しない場合は、運営の自由度は高いが、運営企業の経営状況によっては将来的に撤去することになる恐れがある。
懇談会では、テレビ塔株式会社が存続を強く希望しているにも関わらず、検討に当たって同社の意向が反映されていないとする指摘があった。一方で、市の所有とすれば、国からの交付金を受けることができる可能性があり、市の費用負担を軽減できるとの意見もあった。
提供:建通新聞社