日本工業経済新聞社(茨城)
2012/11/08
【茨城】風力発電6基を新設 サミットウインドパワー 県環境審査会が審議
県の環境影響評価審査会(委員長・天野一男茨城大学教授)がこのほど開かれ、サミットウインドパワー梶i東京都中央区)が鹿嶋市新居浜地区に計画している(仮)鹿嶋第二風力発電所新設事業を環境面から審査した。計画では、既設10基に続く6基を住友金属鹿島製鉄所構内などに建設するもので、規模は1基当たり3000kW級の合計1万8000kW。2013年度中に着工を見込み、16年ごろの営業運転開始を目指す。審査会では、主に環境影響評価準備書に対する住民や関係機関などからの意見を協議した。12月中旬には審査会を経て知事へ答申し、同下旬には知事から経済産業省へ意見書を提出する予定だ。
計画では、住友金属鹿島製鉄所構内の鹿嶋市新浜に4基、新浜近辺に2基を設置する方針。
県では、5月から7月にかけて方法書に関する公告や縦覧、意見聴取などの手続きを進めた後、8月には準備書の公告や縦覧、審査会を実施。9月には準備書の説明会を開き、住民から意見を求め、それをまとめた。
今回の審査会では、住民や関係機関からの意見、8月の審査会での意見に対する回答などを協議。
そのうち送電線や変電所の配置の意見について、事業者側は計画の送電線ルートと変電所レイアウト案を提示。
送電線の敷設に伴う主な工事については、架空送電線では建柱、装柱の建設工事、および送電線の架線工事。また埋設送電線では、掘削、エフレックス管設置、送電ケーブル通線工事、埋め戻し工事を予定しているという。
一方、変電所では基礎工事、変電機器設置、送電線との接続工事を予定。また工事に伴う重機の稼働は、埋設ケーブル工事中のバックフォー掘削工事、ダンプトラックなどの通行があり、これらによる騒音影響の事前調査、予測、評価を実施するとした。
また耐震工法や液状化への対応については、液状化の影響を受けた既設4基で高圧噴射撹拌工法を用いて地盤改良し基礎地盤の安定化させたことを明らかにしたほか、液状化については粒度試験結果や地下水位の調査結果をもとに液状化判定を実施するとした。
その上で液状化の危険性が大きい場合には、液状化対策工(地盤改良や増杭など)を総合的に検討し、経済的に合理性のある対策を講じることとした。
そのほか、シャドーフリッカー(風車影による住民被害)やバードストライク(鳥が風車に当たる被害)の予測結果を説明。環境に影響が無いことを強調したが、秋季の渡り鳥調査については今秋に実施次第、結果を報告するとした。
なおシャドーフリッカー調査では、計画6基の規模を支柱高79m、支柱径(基部)4・5m、ローター直径100m、ローター中心高79mに設定していた。
今後は、12月中旬に開かれる審査会での協議を経て知事へ答申する。その後、経済産業大臣の意見を経て、評価書の作成、縦覧を行った後、着工となる。
手続きが順調に進めば来年度中に着工可能だが、鳥類調査の不足など評価書の作成に時間を要することが見込まれるため、来年度後半以降になることが予想される。着工後、約30カ月後には営業運転が開始される予定だ。
風力発電事業は10月1日から環境影響評価法の対象となり、出力1万kW以上は必ず環境影響評価の実施が必要となる。
今回の案件も対象となるが、事業者に混乱が生じるため、経済産業省では経過措置として要綱を作成。これにより、法適用前に実施された自主アセス(事業者による自主的な環境影響調査)でも法アセスとみなされ、作業が比較的スムーズに進められている。
なお、付近の神栖市南海浜地区と南海浜沖地区では、別会社の潟Eィンド・パワー・エナジー(神栖市)と丸紅梶i東京都)による大規模な洋上風力発電施設が計画されている。