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北海道建設新聞社
2012/11/02

【北海道】北千歳駐屯地南側で大規模な急傾斜地対策−総工費26億円 

 千歳市は、国の受託事業である北千歳駐屯地急傾斜地対策の初弾工事を、年内にも制限付き一般競争で公告する。2013年3月の市議会で承認を経て契約後、4―5月に着工する予定だ。工期は330日で、約600mを2工区に分けて発注する。工事費は本年度発注分が合わせて6億5000万円程度、全体で約26億円に上る見通し。残る約900mは13、14、15年度に分けて発注し、完了は16年度になる。
 対象となる急傾斜地は、陸上自衛隊北千歳駐屯地南側の境界線沿いで、市営住宅大和団地がある大和3丁目から桂木5丁目にかけての東西約1・5`。
 下部に住宅地があることから、市は降雨時や融雪時の崖崩れを懸念し、国に急傾斜地対策を要望。その結果、道防衛局から対策の検討が示された。
 市は10年度から環境、地質、予定地に分布する埋蔵文化財、太平洋戦争中の特殊地下壕(ごう)などを調査。その結果から、地盤の強度不足と、表層滑りが起きる可能性をあらためて確認した。
 予備設計段階では土留め柵を整備する案が挙がっていたが、当初見込みより多くの樹木を伐採しなければならないことが判明。一帯は市街地と自然をつなぐ緑地で、駐屯地との緩衝帯としての機能も持つため、樹木保存と環境影響低減に効果のある工法を検討した。
 その結果、安全性が確保でき緑地の保全にも有効な、地山補強土工法の一つであるノンフレーム工法を採用することとし、敷地を管理する国との協議を終えている。
 同工法は現状の斜面に棒状の鋼材を2m間隔で格子状に打ち込み、それをワイヤで連結させて、安定化を図る工法。緑地保全に有効であることから、全国でも採用されている。
 対策工事の支障となる地下壕は、37カ所を確認。掘削から60年以上経過していることや、その多くは崩落し、一部現存する地下壕についても将来的に陥没する危険性がある上、国も地下壕の保全は考えていないことから全て埋め戻す。
 工事は、中心部に近い大和3丁目から桂木5丁目に向かって順次進めていく。年度ごとの工事費は、崖の高さや斜度、住宅との隣接度合い、埋め戻す地下壕の有無などに左右されるため、各年度の整備延長とは直接比例しない。