静岡県は、新たな県の“みちづくり”の策定に当たり基本的な考え方をまとめた。「命を守る」「自立」「豊かさ」を基本理念のイメージとし、地震や津波・集中豪雨など災害への対応、多発する交通事故への対応、新東名高速道路など高規格幹線道路を生かすネットワークの整備、道路構造物の急速な老朽化への対応などに取り組む方向を示した。10月31日に開いた県道路技術審議会(会長・兵藤哲朗東京海洋大学教授)の初会合で素案として説明した。
県のみちづくりは、おおむね10年間を見据えたビジョンと、5年間で取り組む重点計画で構成する。現在の計画策定から5年が経過する中で、県内の東西軸での渋滞の深刻化、交通事故の多発、集中豪雨による通行止めの頻発、維持・更新費用のさらなる増大などの課題が顕著化。さらに、新東名高速道路の県内区間の開通や東日本大震災の発生、富士山世界文化遺産登録への動きなど社会経済状況が大きく変わっている。
そこで、現在の計画の成果目標の達成状況なども踏まえ、おおむね10年間を見据えたビジョンと、13〜17年度を計画期間とする道路重点計画を新たに策定することにした。
県が現状の課題として掲げたのは、▽地震や津波・集中豪雨などの災害への懸念▽多発する交通事故▽新東名などの高規格幹線道路を生かすネットワーク(の不足)▽道路構造物の急速な老朽化の進展▽深刻な交通渋滞などによる生活環境の悪化▽自然環境や都市景観と調和しない道路空間―。
災害への対応では、高規格幹線道路整備の推進(ミッシングリンクの解消)や既存道路の耐震化による緊急輸送路の確保、豪雨などによる山間地道路の通行止め解消、東西軸と沿岸部などを結ぶネットワークの整備推進に取り組む考え。
交通事故への対応では、児童の通学路対策を含めた総合的な事故防止対策を推進。高規格幹線道路を生かしたネットワークづくりでは、南北道路などの地域交流ネットワークの整備や、新東名と東名を結ぶ東西軸多重性ネットワークの強化を進める。
道路構造物の老朽化対策では、構造物の計画的な維持更新による長寿命化を引き続き展開。生活環境の悪化への対応で、自動車専用道路や主要幹線道路、生活道路の機能分化を推進する。
これらの施策を展開する上での視点については、現行計画と同様に「整備」「活用」「保全」を総合的に行う道路マネジメントの取り組みを徹底する方針。
県は今後、施策の具体化や成果目標の設定の検討などを進め、13年1月下旬に開く同審議会でみちづくりの素案を取りまとめ、県民意見の反映手続きなどを経て新たな計画を策定する。
(2012/11/2)
建通新聞社 静岡支社