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北海道建設新聞社
2012/11/01

【北海道】北ガスの石狩LNG基地が12月1日運転開始−ガス転換へ営業強化 

 北海道ガスが石狩湾新港に建設してきた石狩LNG(液化天然ガス)基地が、12月1日から営業運転を開始する。タンカーで海外から運ばれてきたLNGを、道内全域に送る供給拠点としての役割を担う。北ガスでは「基地の稼働によって供給安定性が飛躍的に向上する」と説明。これをきっかけに、熱源のガス転換を計画する工場などを対象とした営業を強化していく方針だ。
 基地は、石狩湾新港中央埠頭地区(石狩市新港中央4丁目)に建設。一般家庭約50万世帯分に相当する容量18万`gのLNG貯槽をメーンに、LNG気化器やLPG貯槽など供給に必要な設備が並ぶ。
 敷地内にはこのほか、調達先であるロシア(サハリン)やオーストラリアからのタンカーが入港する外航船バースと、函館にLNGを送る船が使用する内航船バースを設けた。
 総事業費約400億円を投じた工事は2009年5月に開始。東京ガスエンジニアリングが設計施工を担い、川崎重工、大成建設、大林組、鹿島、岩田地崎建設、伊藤組土建の各社が施工協力した。現在は試運転をしている。
 10月7日には、全長約300mのサハリンからのLNGタンカー(エネルギーアドバンス号、積載容量14万7000m³)が初入港した。第2船はほぼ同規模のオーストラリアからのタンカーで、1月4日に基地に入る予定。タンカーは当面、年間10船程度入港することになりそうだ。
 基地に到着したLNGは貯層に一時保管され、タンクローリーや貨車で各地に運ばれる。運転開始後は、これまで主に使用していた苫小牧勇払ガス田産の天然ガスに加え、海外産LNGが主要原料となる。
 経営企画グループの川村智郷マネージャーは「本格的にLNGを供給できる体制がいよいよ整う。歴史的な転換点という印象」と話す。
 LNG時代の到来を前に北ガスは、道内各地の工場などを対象に、熱源のガス転換を促す営業を続けてきたが、基地の運転開始後は、その取り組みをより強化する。クリーンエネルギーとしてのガスの認知度が高まっている昨今の状況を受け、よりLNGの有用性に力点を置いた営業展開を図っていく考えだ。
 北ガスは今後、将来需要を見据えながら、LNG貯槽を敷地内にもう1基設けるかどうか検討する。北海道電力が基地の対岸で建設を計画するLNG火力発電所への供給も予定しており、昨年後半から両社間での協議が進んでいる。