静岡県は、県内にある農業用ため池の耐震対策を重点化する。現在策定中の県の第4次地震被害想定を考慮しながら、地盤危険度の高い場所にあるため池のうち決壊した場合に下流への影響が大きいため池を絞り込み、2012年度からの3カ年で点検調査を実施。事業の優先度の高い施設の耐震工事に13年度から順次着手する方針。
東日本大震災で農業用ため池が決壊し、農地や農業用施設、地域住民の生命・財産に大きな被害が発生したことを踏まえた対応。
県内には市町や土地改良区、水利組合などが管理する施設を含め675カ所の農業用ため池がある。規模は数千dから120万dまであり、構造も土堰堤やコンクリートなどさまざま。1970年ごろから順次、改修や耐震化などの対策を実施しているが、古い施設は土質や工事のデータが残っていなかったり、現在の耐震基準に合っていないものもあるという。
県の現在の第3次被害想定で、「想定地震動6強以上」「液状化の危険度大」を判断基準とする地盤危険度の高い場所に位置するため池は293カ所ある。既に対策を完了した施設もあるが、第4次地震被害想定によって地盤危険度の高いため池が増えることが予想されている。
そこで、地盤危険度の高い場所にあるため池を対象に、土質や安定解析などの耐震点検・調査を12〜14年度で実施。並行して、第4次地震被害想定による地盤危険度の整理や、氾濫(はんらん)解析による被害想定図の作成、下流域への影響度の判定を実施し、事業の優先度をまとめる。県では現段階で下流域への影響が大きいため池が100カ所程度あると想定しており、点検・調査や事業の優先度を基に、重点的に対策を行う施設を絞り込む。
これを基に13年度以降、市町と連携して耐震性の低いため池の整備を進めていく。
(2012/10/22)
建通新聞社 静岡支社