北海道建設新聞社
2012/10/09
【北海道】サービス付き高齢者向け住宅の供給熱冷めず−増える事業化相談
バリアフリー構造で、安否確認などのサービスを提供する賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅」の登録開始から約1年が経過した。道内では1日までに140棟、5106戸を登録。都道府県別で見ると、大阪府に次いで多く、道が3月に策定した北海道住生活基本計画に掲げている「2020年度までに1万戸の登録」という目標の半数に達した。順調に登録数は増え続けていて、道などの関係機関に寄せられる事業化に向けた相談も相次いでいるという。サ高住の供給熱は、まだ冷めそうにない。
改正高齢者住まい法が11年10月20日に施行され、サ高住の登録制度がスタート。道内では、12年3月までの約半年間に、登録制度が廃止された既存の高齢者向け優良賃貸住宅からの移行も含め63棟、2356戸の登録があった。その後9月までの半年では77棟、2750戸と登録ペースが加速した。
道内の140棟を主要構造別に見ると、RC造が82棟、3566戸で最多。W造が34棟、893戸で続き、S造が22棟、540戸、SRC造が2棟、107戸となっている。うち7割に当たる98棟(3659戸)は、11年1月以降に竣工または完成見込みの物件だ。
サ高住には、新築で建設費の10分の1、改修で同3分の1の補助制度がある。所管する国土交通省住宅局安心居住推進課では「補助申請は、新築の方が改修よりも圧倒的に多い」と話す。
道内の登録数が東京都を上回るほど多い背景について関係者は、道内は比較的親子の同居が少ないため、高齢者向け住宅のニーズが高いほか、都市部の持ち家率が低くサ高住へ入居する「抵抗感も少ないのでは」とみる。
札幌市内は65棟、2766戸で道内登録戸数の過半を占める。入居状況について「一部で苦戦している所もあると聞くが、料金や場所が問題のようだ。過剰感はまだない」(北海道高齢者向け住宅事業者連絡会)という。
道建設部建築指導課は、町村部での供給が「まだ十分とはいえない」と話す。5月から8月にかけて留萌市や浦河町、江差町などサ高住の登録がない空白地域を中心に道内14カ所で開いた事業説明会には延べ905人の参加があり、個別相談も40件に上った。「今後、地方部でも検討が進みそう」との手応えを得ている。