9月11日付で国土交通省中部地方整備局長に就任した梅山和成氏が27日に記者会見し、重点的な取り組みとして「災害に強い地域づくりの推進」「持続可能で、活力のある地域づくり」「情報発信の充実・強化」の3点を挙げた。また、建設業について、地域や行政にとって大切な存在だと認識を述べ、優良な企業が経営を継続できる環境づくりを積極的に進める方針を示した。
災害に強い地域づくりについて梅山氏は、切迫している、南海トラフを震源とする巨大地震に対して、「ハードとソフトの両面から対策を急がなければならない」と述べた。そして、東日本大震災の際に東北地方整備局が展開した「くしの歯作戦」を挙げ、大災害に際しての初動体制の整備や緊急輸送路確保の重要性を強調した。これに関して、道路や港湾のネットワークの整備や耐震性の向上を進めていく必要を訴えた。
道路ネットワークの弱点となる、高速道路の未整備部分である「ミッシングリンク」は中部地方でも少なくない。これについて梅山氏は、「現在の日本の社会水準を考えると、道路網はすべて完成していてもおかしくない」と指摘。日本のものづくりの中心地として発展してきた中部地方の国際競争力強化の面からも、東海環状自動車道や名古屋環状2号線、近畿自動車道などのミッシングリンクの早期解消を急ぐ方針を示した。
梅山氏は本省道路局道路防災対策室長だった04年9月、台風21号によって崩落した三重県内の国道42号の現場を訪れている。当時、地元の建設業者が国道の異常を察知したことによって道路を通行止めにし、その後、同じ建設業者らが不眠不休で復旧作業に当たったことを振り返った。そうした経験を通じ、地域を熟知し、雇用も支えている建設業の存在の重要性や、「命の道」としての道路の大切さを実感したという。
地域の優良な建設業の持続的な経営や技術の継承を支えていくため、適正な競争環境の整備▽雇用環境の改善▽金融や新事業展開への支援―などに積極的に取り組んでいく考えだ。
うめやま・かずしげ コンクリート工学を専攻し、80年東大大学院土木工学専門課程修了、同年運輸省入省。本省港湾局振興課長、関東地方整備局副局長、港湾空港技術研究所統括研究官を経て9月から現職。大阪府出身、56歳。
提供:建通新聞社