三重県環境生活部は、四日市市大矢知・平津地区での不法投棄の事案に対して対策工法を行うため「四日市市大矢知・平津事案支障除去対策詳細設計」に着手した。2012年度に設計を行うとともに、国の財政支援を受けるための申請手続きを進める。順調に進めば、13年度から対策工事に着手し、10年間をめどに順次対策工を行う考えだ。設計は建設技術研究所三重事務所(津市)が担当、設計工期は13年3月22日。
対象地区は、四日市市北部の産業廃棄物最終処分場で、1994年度までに許可品目以外の廃棄物や規定容量以上の量が処分されていたことが判明したため、原因者に対して県が改善命令を出したが、履行期間内の改善が行われず、現在に至っている。対象面積は約9万5000平方b、容量は約262万立方b。隣接区域にも廃棄物の埋め立てが確認されている。県では、専門家の委員会で対応策を協議し、地下水汚染の拡大を抑制し、かつ法面保護と土砂流出防止対策などのための覆土・雨水排水対策が必要との方針を決め、対策工法を検討していた。12年7月には、学識経験者を交えた「四者協議」(第14回会合)を開き、覆土・雨水排水対策などの「具体的な対策工法」について地元の合意を得た。この合意を受けて、同対策工法を具体化させるため、今回の設計で現地踏査や既往調査などを踏まえて、各対策工の詳細設計を作成する。既に8月から実施している地質調査の成果も反映させながら設計をまとめる。調査担当は川崎地質三重営業所(津市)で、調査工期は13年3月22日。ボーリング調査150bなどを行う。また、国の財政支援策である特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)の環境大臣の同意に向けて手続きを進める。
対象地区の現状は、雨水により廃棄物の飛散や流出、浸出水の拡散のおそれなどがあることから、対策工法では、残置する廃棄物への雨水浸透を抑制するための覆土工や雨水排水のための調整池の設置などを盛り込んでいる。
具体的には、雨水浸透抑制のために覆土工(約3・7f)、長大法面崩落への対応として、押さえ盛土工(約0・5f)や厚層基材吹付け工(約6・7f)、既存の崩壊箇所には、押さえ盛土や連続繊維補強土工(約0・01f)。染み出し水抑制対策として染み出し抑止工(計210b)。表流水への対応として調整池3カ所、雨水排水工約4000b。局地的豪雨に対応した天端部集水機能の設置などを盛り込んだ。また廃棄物が残置されていることから、状況の変化への対応を図るため、対策工法を実施後も対策実施後のリスク管理として、定期的なモニタリング、中間検証などを行う計画。
工事は、全体をエリアに分けて、段階的に行うなど、周辺への2次汚染の抑制など、安全、環境に配慮した施工・工程計画を作成していく。
提供:建通新聞社