北海道建設新聞社
2012/09/26
【北海道】メガソーラー向けの公有地提供の動きが一段落−適地減少で
大規模太陽光発電所(メガソーラー)の道内立地を目指す企業に対する公有地提供の動きが一段落しつつある。自治体と賃貸借契約を結ぶ企業が7月以降急増し、発電に適した土地が少なくなっているためだ。中でも、オホーツクや胆振など日射量に恵まれた地域で提供を見合わせる自治体が多い。企業による計画表明は今後も続く見通しだが、適地が減少していることから、既にピークは過ぎ去ったとの見方が強まっている。
7月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度開始直後、道内では発電の適地として55カ所の公有地情報が各市町村から寄せられていたが、その数は現時点で41カ所に減った。
具体的には、上砂川、美唄、南幌、厚真、白老、室蘭、新冠、羽幌、紋別、標津の10市町が、7月以降に14カ所の土地情報を取り下げた。いずれも発電所の立地が決まり土地に空きがなくなったことを理由としている。
発電関連ベンチャーのソーラーウェイが立地表明している紋別市は7月以降、4カ所の土地情報を全て取り下げた。市の担当者は「複数企業の立地が既に固まっており、空き地はない状態」と説明。新たな遊休地が見つかるまでは、新規の情報提供はしない方針だ。
ソーラーウェイに加え、シャープ、神戸物産の3社が名乗りを挙げている近隣の湧別町も「土地に関する問い合わせが毎日のように企業から寄せられているが、ほとんど空き地がないため、基本的に断らざるを得ない」と打ち明ける。
道内への立地をこれまでに表明した企業は、道のまとめによると21社38カ所に上る。ソーラーウェイ、シャープ、神戸物産のほか、日本アジアグループ(国際航業ホールディングス)やユーラスエナジーといった大手や、菓子製造販売の柳月、建設大手の伊藤組土建と玉川組、草野作工、ドーコンによる事業会社などがこれまでに計画内容を明らかにしている。道経済部では「国へ設備認定を申請する企業がまだ見られるので、企業の立地表明はしばらくの間続く」(産業振興課)と話す。
ただ、ピークは既に過ぎ去ったとの声も聞かれる。ある自治体では「今から申請する企業は、適地を得られる可能性は極めて低い。民有地は別だが、条件の良い公有地はもう残されていない」と説明。これまでのようなペースで立地表明が続くことはないと指摘している。