伊賀市は、国の登録有形文化財に指定されている武家屋敷(旧赤井邸)を対象とした「上野忍町武家屋敷」(仮称)改修工事の実施設計に着手した。担当は白鳳建築設計事務所(伊賀市)で、設計工期は2013年3月15日。見学などの利活用に向けて、耐震化を兼ねた大規模改修を行う。12年度に設計を行い、13、14年度の2カ年で整備を行う計画だ。
上野忍町武家屋敷は伊賀市上野忍町にある、江戸末期から昭和前期に建てられた武家住宅の間取りが継承された木造平屋〜2階建ての建物。主屋など7つ建物、日本庭園などで構成され、総延べ面積は431平方b。主な5つの建物は歴史的景観の価値が認められ10年度に国の登録有形文化財に指定された。
市では、10年度に同建物を取得し、11年度に市民参加の検討部会で検討を行ない、交流拠点として利活用をしながら保存をしていく方針を打ち立て、改修計画のたたき台を作成した。計画に当たっては、構造体の耐震性の確保、老朽箇所の復旧などとともに、耐震補強材を見えないようにするなど極力、外観を損なわない工夫も求められる。
対象の施設のうち、登録有形文化財指定されているのは、主屋が木造平屋159平方b、長屋門が同52平方b、茶室が同9平方b、土蔵(1)が木造2階建て延べ44平方b、土塀が組積造りで53平方b。このほか昭和30年代以降に改修した土蔵(2)が木造2階建て延べ38平方b、離屋が同76平方b。
設計に当たり、既設の部材、構造を調査し、耐震補強計画の作成、部材などの改修計画を作成する。離屋では2階建ての2階床を撤去し構造上は平屋にして減築する。このため、建物ごとに面積の増減があり総面積的では70平方b程度が減少する予定。また関連する機械・電気設備、外構工事の設計、このほか日本庭園の樹木の保存、移設などの造園計画などを作成する。文化庁と改修計画の内容について協議し、承認を得た後に13年度から工事に着手する。工事期間は約16カ月を見込んでいる。
提供:建通新聞社