静岡県は、2013年6月の「第4次地震被害想定」の公表に先立ち、津波対策が必要と考えられる箇所の事前調査を始める。現在進めているシミュレーションの結果などを踏まえて対象の箇所を決定し、ボーリング調査や液状化調査、詳細測量などに順次、着手していく考え。12年度9月補正予算案に「津波対策関連調査事業費」として新たに1億円を計上した。
県では、第4次地震被害想定の策定作業と並行して、地震で発生する海岸・港湾・漁港・河川への津波高のシミュレーションや、津波防御のための施設高などの検討を進めている。
また、巨大地震の発生が差し迫った状況にあるとの判断から、対策が必要だと考えられる▽東伊豆▽相良須々木▽磐田▽浜松篠原▽清水▽福田▽浜松五島▽舞阪―の8海岸を対象に、既定の予算を活用して事前調査を行うことにしている。
一方、内閣府は8月29日に「南海トラフの巨大地震」による津波高・浸水域と人的・物的被害の想定を公表。県内の津波高について、下田市(下田湾外狼煙=のろし=崎付近)で最大33b、南伊豆町(入間富戸ノ浜付近)で同26bに達すると推計。建物の全壊数が地震による揺れで20万8000棟、津波で3万1100棟など合計32万0100棟に及ぶなど、県の現在の第3次地震被害想定(合計19万2450棟)を大きく上回る想定となった。
そこで県では、第4次地震被害想定の策定に先立ち、レベル1津波高(100〜150年ごとに繰り返し発生する巨大地震で発生する津波の高さで、施設で津波被害を防御する基準)や浸水域などの検討状況を踏まえ、早急に対策が必要と判断される箇所で事前調査を行うことにした。
調査の内容は、▽液状化調査の必要性を判断するためのボーリング調査▽施設の耐震構造を決めるための液状化調査▽施設の位置や構造などの検討に必要な詳細測量―を想定。シミュレーションなどの結果を基に調査対象の箇所を今後決定し、土木事務所などが業務を順次委託する。
(2012/9/24)
建通新聞社 静岡支社