静岡県が設置した「駿河港湾アクションプラン」推進計画検討委員会(委員長・鬼頭平三日本港湾協会理事長)の初会合が19日、県庁内で開かれ、駿河港湾の20〜30年後の在るべき姿と、今後10〜15年間に実施する港湾施策の検討が始まった。県内産業の国内外での競争力を高めることなどを視野に、駿河港湾を形成する3港(清水港、田子の浦港、御前崎港)の連携の効果を最大限に発揮できるような各港の長期的整備構想を2013年度末をめどに策定する。
推進計画は、11年3月末に策定した駿河港湾アクションプランに基づき、@物流・産業A防災・危機管理B交流・生活・環境―の三つの視点から、短期・中期・長期の3段階で整理する。
初会合では、まず、駿河港湾の抱える課題を事務局が説明。物流・産業では、▽清水港の高規格コンテナターミナルの早期整備とターミナルの集約・一体化▽貨物需要に対応した清水・御前崎港のターミナル計画の見直し▽物流効率化を追求した御前崎港の施設の拡充・再配置▽物流機能の再編に合わせた3港の効果的な施設の更新・長寿命化▽清水・田子の浦港での主要幹線道路へのアクセス性の向上▽御前崎港埠頭への確実なアクセスの確保―が必要とした。
また、防災・危機管理の観点では、各港で▽県の第4次地震被害想定に基づく耐震強化岸壁整備計画と津波・高潮防災施設整備計画の見直し▽駿河港湾としてのBCP(事業継続計画)の策定▽港湾空間でのがれき(災害廃棄物)処分場の確保―が求められている。
交流・生活・環境の面では、3港での▽海上交通ネットワークの充実(空港、道路、鉄道との接続)▽漁港区を利用した新たな観光拠点の創出▽物流機能の集約・再編による新たな緑地・親水空間の創出―を挙げた。
委員からは「民間であれば不採算の店は撤退・閉鎖の対象となる。ストックの老朽化が進む中で、これまでのように維持管理を続けるのかどうかも考えるべき」「静岡県は物流拠点として理想的な場所に位置している一方、地震や津波のリスクがある。日本の中、アジアの中での駿河港湾が果たす役割を明確にすべき」「物流だけを考えるのではなく、にぎわいの創出を主な目的と考えるべき」「防災の観点から物流施設を山間地に移転する動きがあるが、開発には多くの規制があり、時間と費用が掛かって円滑に進められない」などの意見・提案があった。
(2012/9/21)
建通新聞社 静岡支社