国土交通省は、厳しい地方財政を前提とした新たな下水道整備・維持管理手法の検討に着手する。まず自治体の投資可能額を設定した上で、民間活力など新たな手段の積極的な活用を検討し、どのような下水道運営ができるかを判断する「コストキャップ型下水道」の確立を目指す。本年度は美浜町(愛知県)をケーススタディの対象として適用可能性調査を実施する方針だ。
日本の汚水処理人口普及率は10年度末で87%、このうち下水道処理人口普及率は75%に達しているが、地域間の格差は依然として解消されていない。特に中小規模の自治体では、人口減少や高齢化の進展、厳しい財政制約などで、下水道整備が困難な状況に置かれている。そこで国交省は、従来の下水道計画検討プロセスとは異なった新たなアプローチとして、「コストキャップ型下水道」という先進的経営モデルプロジェクトを検討していくことにした。
この手法では、あらかじめ厳しい地方財政を前提とした投資可能額を設定し、その範囲内で効率的な整備・維持管理手法を検討していく。事業の効率化に当たっては、国交省がコスト縮減に向けて展開する「下水道クイックプロジェクト」の各種技術をパッケージで採用することに加え、設備の海外調達や超長期間の包括委託、民間技術の積極的な採用などに取り組む考えだ。
本年度は、美浜町をケーススタディとした適用可能性調査を実施する。このため、国土技術政策総合研究所と美浜町の間で「低コスト型下水道整備等手法の適用可能性検討に関する共同研究」の協定を8月29日に締結した。
提供:建通新聞社