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北海道建設新聞社
2012/09/13

【北海道】道建協が下請け企業の保険加入調査へ−国交省の指導強化受け 

 北海道建設業協会(岩田圭剛会長)は、下請け建設会社を対象に社会保険の加入状況を調査する。社会保険未加入対策を進める国土交通省が、元請け建設会社に下請け指導の強化を求めるのを受けて実態の把握に乗り出す。12月末までに調査結果をまとめる。建設業の安定的な発展に向け、行政と業界が一体となって取り組む政策だが、受注競争の激化が続く中、元請け、下請けともに建設業の土台を揺るがす副作用≠フ発生を懸念している。 
 国交省は11月1日付で、元請け・下請けの役割と責任を明確化した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を施行する。元請けが下請けの加入状況を確認した上で、未加入の場合は早期加入を促し、遅くとも2017年度以降は未加入企業を選ばず、現場の入場を認めないよう徹底させる。
 併せて、11月からは建設業法施行規則を改正し、施工体制台帳や再下請負通知書に社会保険加入状況を記載することを義務付ける。また、元請けが下請けの法定福利費を認めなかったり、一方的に削除した場合は建設業法違反となる恐れがある。
 国交省は、社会保険とされる「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」の未加入が若年入職者の減少を招き、法定福利費を負担する企業ほど競争上は不利になる矛盾に陥るとし、抜本的な是正を開始した。
 11年10月の公共事業労務費調査と併せてまとめた社会保険加入状況によると、道内企業の3保険(健康、厚生年金、雇用)加入率は84%。47都道府県中31番目で、全国平均と同数だった。しかし2次、3次と下位の下請けになるほど率は低くなり、中小零細や一人親方などの過酷な経営実態が浮かび上がる。
 調査を実施する道建協労務研究会は「下請けにとってデリケートな問題が絡むと思うが、元請けの責任も重大」と、毅然(きぜん)とした姿勢で調査に臨む。一方で、対策の推進により「貴重な技能者が離れて、悪い連鎖反応が起きなければいいが」との不安を抱く。
 道内の専門工事業者でつくる団体は、品質や安全、雇用を重視する企業が差別化される理念には賛同するものの、実際問題として足元を振り返り、発注機関や元請け企業に法定福利費が確実に受け取れる別枠支給を強く求めている。
 専門工事団体の代表は「大規模な公共工事から排除の取り組みが始まる。つまりは優秀な技能を提供し、ブランドを支えてきた会社から淘汰(とうた)が進められる。最終的には、われわれから見て不良不適格な業者が生き残るのではないか。不公平にならない配慮を求める」と話している。