国土交通省名古屋港湾空港技術調査事務所は、8月29日に内閣府が提出した南海トラフ巨大地震の想定に基づき、名古屋港外港地区の高潮防波堤改良工事に向けて、具体的な構造の検討を開始する。2012年度中に初弾工事を発注したい考えだ。
同事務所はこれまでに防波堤改良の基本設計を日本港湾コンサルタント(名古屋市中区)に委託しており、複数の手法による改良を検討してきた。今後、内閣府の想定数値を照査し、適切な手法を選定する。
また名古屋港湾事務所はこれまでに細部設計の入札を公告しており、9月26日に開札する。下半期にかけて施工時の手順や安全対策を詰める。可能であれば、2012年度中に初弾工事を発注したい考え。現在のところ、14年度の工事完了を目指すとしている。
同防波堤は、弥富市側の鍋田堤(延長4126b)と知多市側の知多堤(同1331b)、両堤の間でポートアイランド付近にある中央堤(同2136b)で構成している。建設から50年余りが経過しており、一部で最大2b程度の沈下がみられる。
内閣府の想定数値のうち、津波の高さ・速度は、同調査事務所の従前の想定に近い数字となった。今後は、地震動の速度や周期などに関する想定数値に基づいて地盤沈下の程度を推定し、改良手法を決定する。防波堤改良では、主に堤体部分の嵩上げとケーソンの補強を行う必要がある。
場所により異なるが、既設のケーソンは高さ約1・8b、堤体は同6・1b。
堤体の嵩上げは1〜2b程度に収まる見通し。嵩上げにより重量が増すため、沈下と釣り合う嵩上げの高さが求められる。
それぞれのケーソンは、内部が6つの隔壁で仕切られており、砂利や石が入っている。補強手法としては、セメントの充填(じゅうてん)などが考えられる。
提供:建通新聞社