建通新聞社四国
2012/09/04
【高知】年度内に「津波対策見直し」総仕上げ 県
内閣府は8月29日、南海トラフ巨大地震による津波高や浸水区域、被害想定などを公表した。これを受け、尾ア正直高知県知事は同日、津波避難対策の根幹となる10bメッシュの高知県版第2弾津波浸水予測を年内に公表し、年度内に新たな被害想定を踏まえた「対策の見直し」の総仕上げを図ることなど高知県の対応を発表した。
内閣府の報告によれば、土佐清水市と黒潮町で全国最大の津波高34bとなり、津波浸水域は県内全体で全国最大の1万5780f、そのうち浸水深10b以上の区域は1910f。また最悪ケースの場合、建物全壊および消失棟数は23万9千棟、死者数は4万9千人と想定されている。
県では、東日本大震災を踏まえ、これまで津波避難施設の整備や県有施設の耐震化前倒し、住宅耐震化補助の拡充、海岸堤防の液状化対策などを進めてきた。3月31日の内閣府による第1次報告の後は、5月10日に県独自の50bメッシュでの浸水予測を公表し、津波避難場所の整備を加速させている。
今回の報告を受け、今後は河川遡上(そじょう)や県管理河川の地形データなどを反映したシミュレーションを実施し、年内に県独自で10bメッシュでの津波浸水予測を公表する。これを踏まえ、「対策の見直し」の総仕上げを年度内に図る。
具体的には、発災時の備えとして、避難空間づくりに全力を挙げる(避難場所の計画数963カ所のうち2012年度末に529カ所の整備が完成見込み)、シェルターや高台など避難先の選択肢の提示、避難時間を確保するための海岸堤防の整備や橋梁の耐震化など減災のためのハード整備を継続的に推進することを挙げている。
応急時の備えとしては、全国からの応援部隊による救援活動や支援物資の集配などが円滑に行える防災拠点の整備を図るための基本構想策定、最大クラスの地震発生時にも県が確実に災害対応を行える体制を構築する応急対策活動計画の見直しを図る。また迅速な復旧・復興ステージにかかわる諸計画の見直しを概成することを盛り込んでいる。
県では、県民への防災意識のさらなる向上や、南海トラフ巨大地震対策特別措置法(仮称)の制定や南海トラフ巨大地震に対応した大綱・要領の策定などの国への働きかけを継続して進める。そして南海地震対策のトータルプランとしてあらゆる対策を取りまとめた新行動計画を策定し、「人的被害を限りなくゼロに近づける」「防災・減災対策を講じ、被害を最小化し早期復興を可能とする」ことを目指す。