売電目的の木質バイオマス発電事業を計画する「三重エネウッド協同組合」(松阪市中央町324ノ4、理事長・森下隆生〈丸天林業代表〉)が8月29日に設立し、県内では初となる木質バイオマス発電事業がスタートする。2012年度に発電プラントメーカーを選定し、13〜14年度に建設、14年秋の稼働を目指す。発電出力は5000`hで、売電売り上げは年間10億円を見込んでいる。
同組合は、丸天林業(伊勢市)、大成産業(松阪市、以下同じ)、High Evolution、田中林業、東海林産の5社で構成。未利用の間伐材を燃料とする木質バイオマス発電施設を設置し、再生可能エネルギー固定価格買取制度による電力販売を行うことを目的としている。
今後のスケジュールは、建設地について複数の候補から選定を進めており、確定後に発電プラントの選定作業に入る。選定に当たっては、選定手法の公平性を保ち、また、メーカー側の技術力、提案を加味させるポロポーザル方式を念頭に選定手法も検討する。売電先については、中部電力など候補者から選定する作業も12年度中に並行して行う計画。プラント建設は最短でも15カ月間を見込んでおり、13年度に着工、試運転期間も考慮して14年秋の稼働を目指す。
発電機の発電出力は5000`h。木質バイオマス使用量は年間約5万5000d(約7万3000立方b)。24時間稼働で、年間では、点検などの休止期間を考慮して7000時間の稼働を想定している。売電価格は7月にスタートした再生可能エネルギー固定価格買取制度に沿って、バイオマスのうちの「未利用木材燃焼発電」の1`hh当たり「32円」としており、年間売上は約10億円を見込んでいる。減価償却期間は15年を予定。事業全体の事業費は建設費など流動的な要素があるが、概算で20億円としている。
発電システムは、チップ化した間伐材を燃料とする燃焼ボイラーと蒸気で稼働するタービン発電機で構成する。ボイラー方式など複数の形式があるため選定の中で検討していく。
現在、県内の間伐材利用では、年間約3万4000dがバイオマス利用されているが、県内山林で間伐が進んでいない地域が多くあることから、同組合事務局では「発電への間伐材の供給は可能。当事業により、放置された間伐材の再利用を加速化させるとともに地域活性化、雇用確保への波及を期待している」と話した。
提供:建通新聞社