岐阜県農地整備課は、農業用水路やため池などの農業水利施設を活用した小水力発電について、より詳細な導入可能性を調査・検討する概略計画策定箇所として11地区を選び、9地区については既に計画の策定に入っており、残り2地区についても今後概略計画の策定を委託する予定だ。
今後、概略計画を委託するのは下辻南用水(揖斐川町久世)と日面用水(郡上市白鳥町阿多岐)で、それぞれ所管する農林事務所から発注する予定だ。
概略計画をすでに委託している9地区の担当コンサルタントは、飛鳥川用水(揖斐川町北方)と宮地用水(揖斐川町宮地)が岐阜県土地改良事業連合会(岐阜市)、荘川町中央用水(高山市荘川町)は東洋設計岐阜営業所(岐阜市)、木曽川右岸用水(美濃加茂市森山)はユニオン(岐阜市)、各務用水(関市小屋名)と名倉用水(揖斐川町久世)、岩本用水(関市板取岩本)、萩原中央用水(下呂市萩原町桜洞)、石神用水(飛騨市神岡町石神)は興栄コンサルタント(岐阜市)が担当して進めている。概略計画の中で用水の流量や落差、送電に要する送電線の確認、想定される発電規模とそれに見合う施設規模、水利権協議など諸手続きが容易かどうかや概略の事業費、採算性などを算定し、これらを基に、事業者と導入の可否を検討し、次年度に基本設計に着手するかを判断する予定。導入を正式に決めた場合は、13年度に基本設計、14年度以降に詳細設計と工事着手となる見込みだ。
岐阜県では11年度に、NPO法人地域再生機構が担当して農業水利施設を活用した小水力発電可能地調査を実施し、岐阜県内の市町村や土地改良区からの聞き取りや農村振興GISによりピックアップした108箇所の候補地のうち33箇所で小水力発電の可能性があるとしていた。今回はさらに市町村からの要望や発電能力などを加味して11地区に絞り込んだ。12年度これら11地区に先行して、中津川市加子母小郷地区で13年度末の完成を目指して工事着手するほか、郡上郡石徹白地区と中津川市西山地区で基本設計を完了させる予定だ。
発電した電気は中部電力に売電し、農業用施設の電気代や維持管理費に充てることを想定。農業水利施設を活用した小水力発電に関しては、概略計画までは県が費用を負担して実施し、工事費など施設整備費用は25%を地元が、残り75%を県または県と国が負担する。
提供:建通新聞社