「それぞれの施策の目標をもっと明確に」―。静岡県建設業審議会(会長・小川雄二郎富士常葉大学非常勤講師)の第7回会合が20日、県庁内で開かれ、2011年度に策定した県建設産業ビジョンの取り組み状況について、「いつまでに、どのレベルに達成するのかを目標として設定しなければ進捗(しんちょく)管理にならない」など、目標を明確化すべきとの意見が委員から相次いだ。これに対し事務局の県側は、次回の会合までに目標設定や評価の在り方などを見直す方針を示した。
建設産業ビジョンでは、@過剰供給構造の是正A建設産業の再生B入札・契約制度の改善C災害時対応力の向上―の大きく四つの視点で、行政と業界が取り組むべき方策を示している。
今回の審議会では、ビジョンに盛り込まれた行政の施策(42件)の実施状況を県が説明。技術系高校や大学などの定員確保や、道路の維持管理や雪氷対策といった地域維持事業での災害時の待機費用の計上など6件(全体の約14%)を「おおむね実施済み」としてA評価とした。一方、総合評価落札方式での基幹技能者の評価項目への追加や、下請け企業の見積価格を踏まえた入札方式の採用、地域維持型JV(共同企業体)による発注方式など全体の約19%に当たる8件を「検討中、または今後検討」としてC評価にした。
これに対し、委員から「具体的にいつ、どのレベルに達するかを示さなければ目標にならない」「入札・契約制度の改善で設定している目標が大ざっぱではないか。全体の何割、あるいは何件という数字を示すべき」「建設業の合併やビジネス経営体への発展に関し、県が12年度に新たな支援制度を設けたことは評価する。しかし、実際に利用されなければ評価の対象にならない」「BCP作成に対する、総合評価方式の評価項目への追加について、国や他県の動きを踏まえて対応するというが、県独自の取り組みをすべき」といった意見や指摘があった。
これに対し県側は、施策のフォローアップを着実に行うため、目標設定や評価の在り方について、次回の審議会までに見直す方針を示した。
審議会ではこのほか、「新分野への進出では現在、他の産業へ進出しようという動きが少ない一方、建設業に関する他の事業分野や新たな工法の開発などに取り組む事例が増えている。こうしたことに補助制度を活用できるようにすべき」「国土交通省が下請けの見積もりを参考にする入札の試行を始めた。県でも中長期の目標と言わず、できるだけ早く取り組むべき」「建設の現場を支えているのは下請け業者。こうした業者が生き残る策も必要ではないか」「地域の建設業者が次々に倒産し、地域の人の雇用の場がなくなっている。災害への対応や耕作放棄地への対応にも苦心している。地域の建設業が元気でないと困る」といった意見や提案があった。
(2012/8/22)
建通新聞社 静岡支社