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建通新聞社四国
2012/08/07

【徳島】新病院整備方針を決定 海部病院整備検討委

徳島県立海部病院の整備方針を検討する委員会の最終となる第4回会合が1日、同病院で開かれ、「新病院の整備方針」を決定した。委員会の最終報告を受けて県は今後、整備方針の肉付けとなる基本構想案を庁内でまとめ、2012年度に着手予定の建築基本・実施設計に向けて設計者選定作業を急ぐ考えだ。
 整備方針は、整備方針の素案(中間とりまとめ)を基に、委員会委員や議会などの関係機関、県民などの意見を踏まえまとめた。中間とりまとめの時点から用語や表現などの変更のほか、「施設整備の方針」に、「各部門の整備方針」を加えるなど細分化した点が特徴。また、特に要望の強かった療養病床については、同病院の整備方針に盛り込まないものの、あえて追記として今後、県病院局が中心となって地域の関係機関と連携して対応するよう配慮した。
 決定した整備方針によると、「安全・安心な医療の提供」「高齢化による疾病構造の変化などへの対応」「災害時における医療体制の整備」「地域医療を担う人材の育成」を基本方針に挙げ、担うべき主要機能として、一般医療のほか、@救急医療A災害医療B感染症医療Cへき地医療D周産期医療Eがん医療F回復期・亜急性期などの医療G地域医療研修機能―を盛り込むとした。
 具体的には診療科目を内科・小児科・外科・整形外科・脳神経外科・産婦人科・耳鼻咽喉科・放射線科・泌尿器科・皮膚科、(総合診療科)とし、現状をベースとする。病床数は現病院の110床を基本とし、病棟の構成についても現病院の病床種別(一般病床102床、結核病床4床、感染症病床4床)を基本に、急性期以外の地域の医療ニーズ(回復期など)や町立病院との役割分担、将来の診療報酬の改定などに柔軟に対応できるような病棟構成を検討することにしている。
 一方、施設整備の方向性に当たっては、「災害に強い、安全で安心な施設」(被災患者受け入れ・治療などのスペース確保、高齢化などの地域性に配慮)、「快適な療養環境の施設」(病床1床当たりの十分な面積確保)、「地域に開かれた施設」(地域住民と医療従事者の交流の場づくり)、「環境にやさしい施設」(自然環境・省エネに配慮)、「医療スタッフが働きやすく魅力ある施設」(医療従事者の機能的な動線などに配慮)―を施設整備の方針に挙げ、病棟施設や外来部門、救急外来部門など部門ごとの整備方針を追加した。
 同事業は、県南地域の災害拠点病院としての役割を担う同病院について、県が抜本的な津波対策として国の地域医療再生臨時特例交付金を活用して津波被害を受けない安全な高台への移転改築に取り組むもの。既存の病院施設は鉄筋コンクリート造4階建て(塔屋付)の本館棟と2階建ての別館、3階建ての厚生棟で構成し総延べ床面積は7586平方b。1983年度の建築。医師公舎などの建物は総延べ1202平方b。
 基本構想のとりまとめなど今後も検討が図られることになるが、病床数など現状の機能をほぼ確保した改築の場合、新病院の床面積は現状よりかなり増床する見通し。いずれにしても今後県は、整備方針をもとに施設整備の肉付けとなる基本構想案を早急にまとめ、設計者選定作業に取り掛かる方針だが、具体的な設計者の選定手法など委細についてはこれから検討するとしている。
 また、計画地の確保と造成までは牟岐町が担当するが、同日の委員会では、委員の大森博文副町長から一部報道で危惧されている計画地の造成などについて、県の協力の下で順調に進めている旨の報告があった。