愛知県は、県道路公社の有料道路事業の民営化に向け、2012年度に検討会を立ち上げる。具体的な設立時期は未定だが、法律、金融、PFIなどの有識者で構成する見通しだ。
県はことし2月、「構造改革特区」制度を使った有料道路事業の民営化を国に提案した。これに対し国は5月、「民間事業者による有料道路事業の運営実現に向けて検討する」と回答。提案の実現に向けて前向きな姿勢を示すとともに、具体的な事業スキームの提出を県に求めた。
12年度に立ち上げる検討会は、事業スキームを中心に考える。検討会に提出する資料の作成や、検討会の運営は、建設技術研究所中部支社(名古屋市中区)に依頼した。
道路公社が運営している路線は知多半島道路など12路線1駐車場。このうち11路線1駐車場は、道路の建設費などを借り入れ、供用後の料金収入を借入金の償還に充てる道路整備特別措置法(特措法)の「有料道路事業制度」を活用して整備した。
特措法に基づいて整備した路線は、知多半島道路、南知多道路、知多横断道路、中部国際空港連絡道路、衣浦トンネル、猿投グリーンロード、衣浦豊田道路、名古屋瀬戸道路、小牧東インター有料道路、音羽蒲郡有料道路、小坂井バイパス、新豊田駅駐車場。総延長は道路運送法に基づく三ケ根山スカイラインを含め83・1`。
現行の特措法は、国道や県道を新設・改築し、料金を徴収できる者を地方道路公社と道路管理者に限定している。また道路管理者の権限代行も地方道路公社のみに限定している。県の提案は、この特措法の規制を緩和し、民間事業者による有料道路の運営を認め、民間企業の経営ノウハウを活用しようというもの。民間の事業機会を創出し、良質な利用者サービスを提供することが狙いだ。
事業は今後具体化していくことになるが、所有権を残したまま、一定期間の運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」を軸に検討する。事業者はコンペ方式で広く公募する方針だ。
提供:建通新聞社