東邦ガス(名古屋市熱田区)は、二酸化炭素の排出削減で効果が期待される燃料電池車に、燃料となる水素を供給する「水素ステーション」を、愛知県豊田市のとよたエコフルタウンに建設する。用地選定から建設までのプロセスを通じて、現在のガソリンスタンドのような商用ステーションの普及に向け、課題を抽出するとともに工期短縮や低コスト化を検証する。10月の着工、13年3月末の完成を予定している。
建設地は、豊田市が低炭素社会の実現に向けた取り組みを発信するとよたエコフルタウンのうち元城町3ノ11の敷地1100平方b。「とよたエコフルタウン水素ステーション(仮称)」として、都市ガスを燃料にして水素を製造し、充てん装置などを経て、燃料電池車と、豊田市内を走行する燃料電池バスに水素を供給するスタンドを建設する。
国内最大級となる、直充てん方式の大流量圧縮機が組み込まれたドイツのリンデ製のパッケージ型充てん装置を導入し、省スペースや低コスト化を目指す。
今回の事業は、エネルギー会社や自動車メーカーで組織し、同社も参加する水素供給・利用技術研究組合と、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究の一環。同組合の組合員である岩谷産業と取り組む。
15年ごろからの燃料電池車の一般ユーザーの販売開始をにらみ、エネルギー各社は、13年度から4大都市圏を中心に100カ所の水素ステーション整備を計画している。今回のステーション建設は、同計画に先立つ商用ステーション整備のモデル事業の一つとなっている。
提供:建通新聞社