建通新聞社
2012/07/30
【大阪】江之子島まちづくり事業 日生病院が移転 民間計画変更へ
大阪府庁ゆかりの江之子島地区で進められている「江之子島まちづくり事業」の民間計画が変更の見通しとなった。事業コンペにより事業者に決定、初代の大阪府庁舎の跡地などを購入し、開発を進めている長谷工コーポレーションなどは、マンション建設を日生病院の移転先に変更するなどの変更計画を府に届け出た。府は全体事業の完成期限(2017年12月末)を厳守することなどを条件に変更計画を認める見通しだ。
場所は大阪市西区江之子島2−32他。1874年から1926年まで初代の大阪府庁舎が置かれていた場所。その後は旧府立産業技術総合研究所として使用されていた。府は民活によるまちづくりを目指し事業コンペを実施。2007年12月に事業者を長谷工コーポレーショングループに決定した。
長谷工グループは、全体敷地面積1万7,024uのうち1万5,157uを取得。初代府庁の建物を含む府有地1,866uは、江之子島文化芸術創造センターとして本年4月にオープンした。
民有地の開発は、南側敷地(約7,800u)で1棟のマンションを建設中。さらに超高層タワーマンションを近く着工する。しかし、北側敷地(約7,300u)では、不動産市場の停滞などもあり、計画が具体化していなかった。
従来の民有地開発計画は、敷地北側が共同住宅1棟(37階建て・戸数440戸)、商業施設(独立棟)など。南側が共同住宅2棟(46階、20階建て・総戸数746戸)。計画変更後、南側敷地の事業内容(住宅開発)は変わらない(タワーマンション2階部分に商業施設を追加)が、北側敷地を「病院を核とした新たなまちづくり」へと大幅に変更する。現在、大阪市西区立売堀6−3−8にある日生病院を移転改築し、10階建て・350床の新病院を建設する計画。16年当初の着工を見込む。
府は、この変更計画を「基本コンセプトの趣旨・目的を逸脱するものではない」として認める考え。日生病院は80年近く大阪市西区での医療に貢献しており、「今回の計画によりこの活動を継続できる」という面も評価する。ただし、@病院を含む新たな「江之子島アート&ライフスタイル」の創造を実現するA病院建設着工までに許認可などを得た病院建築の概要を提出するB全体事業の完成期限(2017年12月末)を厳守する−などの付帯条件を付ける。
新病院ではアートを活用した医療や地域との交流を見込む。病院1階にはメディカルカフェや多目的スペースを設け、人のにぎわいも創造する。
現在の事業者は長谷工コーポレーションのほか、名鉄不動産、関電不動産、ヤスダエンジニアリング。ここに日生病院の関係企業が加わる見通し。