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建通新聞社(中部)
2012/07/26

【愛知】名大・中日本高速ら 橋梁保全技術者を育成

 高度成長期に大量に建設された橋梁の老朽化が全国的な問題になっている中、名古屋大学と中日本高速道路会社、中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋が連携し、官庁や民間の橋梁保全技術者の育成に乗り出すことになった。名古屋大学の橋梁点検技術研さん・研究用施設「ニュー・ブリッジ」を活用した橋梁保全技術研修を9月25日から開始する。名古屋大学では、技術レベルの認定試験も行う。
 ニュー・ブリッジは、名大橋梁長寿命化推進室が、さまざまな劣化・損傷が生じて撤去された橋梁の部材を全国から集め、名大構内に設置した施設。研修は中部地域の学生、官公庁・民間企業の技術者を対象に行う。同施設を使った実技と、点検・保全技術に関する講義を通じて橋梁保全技術者を育成する。
 2012年度は、2〜5日間の常設研修(基礎コース、検査点検コース、診断評価コース)とオーダーメイド研修の2種類が受講可能。
 基礎コースは、橋梁維持管理業務に携わる技術者を対象とした初級コース。橋梁維持管理の流れと橋梁劣化の基礎知識を習得し、簡易な点検技術を体験する。第1回を9月下旬、第2回を12月に開催する。9月25日からの第1回について7月25日から受付を開始した。
 検査点検コースは、橋梁点検業務に携わる技術者を対象とした中級コース。機器を使用した点検実務、国土交通省の「橋梁定期点検要領(案)」(04年3月)に基づいた「橋梁点検調書」の作成と、劣化機構の推定について学習する。第1回を11月、第2回を13年2月に開く。
 診断評価コースは、橋梁保全業務に携わる技術者を対象とした上級コース。劣化予測、性能評価、補修・補強対策、維持管理計画の策定まで、一連の保全業務についてケース・スタディ(事例研究)を行う。第1回を13年1月から2月にかけて開催する。
 オーダーメイド研修は、行政や道路事業者、団体、企業が、それぞれの技術者育成のために実施する。
 また、名大が検査点検コースと診断評価コースの受講修了者を対象に、技術レベルを認定するための試験を実施する。合格者は「橋梁点検士」または「橋梁診断士」として認定される。初回試験は13年夏ごろに実施する予定。
 このほか、同施設を学生の授業実習や、官公庁や企業の研究開発用フィールドとしても提供する。
 研修の実施にあたり、産官学による橋梁保全技術研修協議会(会長・中村光名古屋大学教授)を組織、取り組みを支援する。学識経験者や、国土交通省中部地方整備局と中部・北陸地域の県庁の関係部署などのほか、プレストレスト・コンクリート建設業協会、日本橋梁建設協会、建設コンサルタンツ協会中部支部が参加している。
 問い合わせ先は名古屋大学橋梁長寿命化推進室、電話052(789)3726。

提供:建通新聞社