岐阜県と42市町村の部課長らで構成するリニア中央新幹線活用戦略研究会基盤整備部会(座長・竹内伝史岐阜大学名誉教授)の第4回会合が岐阜県庁で開かれ、リニア駅に求められる機能や駅周辺整備などの整備手法、整備計画といった「リニア活用戦略(1次案)」を2013年2〜3月ごろをめどに取りまとめることなどを決めた。
今後、13年1月ごろまでに3階程度基盤整備部会を開催し、駅および駅周辺機能の基本コンセプトや必要とされる機能、施設の規模を想定した様々な整備パターンとパターンごとの費用、駅周辺アクセス道路にどのような道路が必要か、鉄道アクセスを改善するためのハード上の課題などについて検討し、整備計画(案)を作成する。
当日の部会では、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託して行ったリニア中央新幹線開業効果に関する試算結果や岐阜県民と首都圏住民を対象に実施したアンケート調査結果を公表した。
開業効果としては、リニア県内駅の利用者数を一日当たり約3200人と予測、リニア建設および開業による経済波及効果として、観光旅行者の増加により年あたり218億円の生産誘発効果、総合車両所の設置で生産誘発効果年あたり79億円が生まれるとしたほか、リニア建設段階では建設事業費合計1兆0263億円(総合車両所2785億円、リニア県内駅343億円、路線約55`7135億円、ただし用地費除く)とし、生産誘発効果は1兆9110億円(年あたり1470億円・建設期間を13年間と想定)と算定した。
アンケート調査結果によると、リニア駅にふさわしいと思う機能は、岐阜県民はレストランなどの飲食店や自家用車向けの駐車場が多く、首都圏住民はレストランなどの飲食店は同じだが、岐阜県内の特産品が並ぶ店、宿泊施設、観光案内所などが上位を占め、県民および来訪者の双方のニーズに合った駅機能整備が必要またとしている。リニア駅辺のアクセス整備については、岐阜県民は鉄道(在来線)と自動車によるアクセスが圧倒的に多く、首都圏からの利用者は、リニア県内駅から在来線の快速電車のほかに観光地と結ぶバスを想定する割合も高いものとなっている。これらを踏まえリニア開業までに、道路、鉄道、バス路線などの2次交通のアクセスの検討が必要としている。特に道路アクセスの整備については、県内各地(特に中濃・飛騨方面)とのアクセス道路整備の在り方の整理や道路利用者のための駅および駅周辺機能の整備について今年度検討していくことになる。
中津川市西部に計画されているリニア中央新幹線における岐阜県内の中間駅は、JR東海側から地上高約50b(軌道の高さ約20b)で敷地面積約3・5fなどの計画が示されているが具体的な位置などはこれから決定される。また、整備は全てJR側の負担で行うが、中間駅に連絡する通路などの施設は自治体側が全て負担することで同意されている。
提供:建通新聞社