建通新聞社
2012/07/19
【大阪】府立病院機構 最先端がん医療施設整備 重粒子線なら工期24カ月 工事費35億円
大阪府立病院機構は、府立成人病センターの大手前地区移転改築に連動する粒子線治療等最先端がん医療施設整備について、整備スケジュールなどを示した。条件が整えば、2013年度の1年間で基本計画から実施設計までを作成。14年度に着工し、24カ月(重粒子線治療施設の場合)の工期で建設する。また、第1回最先端がん医療施設整備検討委員会(委員長・小川和彦大阪大学大学院教授)での意見を踏まえて想定規模などを修正。施設規模は延べ約6,500u(重粒子線治療施設)としている。
整備候補地は、大阪市中央区大手前3丁目。成人病センター移転予定地(東成区から)の東側で、道を隔てて大阪城公園に隣接する。敷地面積は約9,000u。施設内容、運営体制、事業収支などを検討するために委員会を設置している。
現在実用化されている最先端のがん治療は、「重粒子線治療」「陽子線治療」の2種類があり、どちらを採用するかを検討中。第1回の委員会(5月31日開催)で示した府の想定に対して、委員から「設備の低価格化が進んでいる」「療法別の施設規模はそれほどの差はない」などと指摘があったため、これを修正し、17日の第2回委員会に両治療施設の整備スケジュール、施設規模・事業費などの比較を示した。
「重粒子線治療」施設では、事業化1年目に12カ月の納期で基本計画・基本設計・実施設計を作成。2年目当初に建設の諸手続きに入り、認可後24カ月の工期で建設する。建築面積は約3,300uで延べ約6,500u。整備費は約115億円(施設約35億円、装置約80億円)、維持費年間約5.8億円(施設約0.8億円、装置約5億円)と試算。
「陽子線治療」では、事業化1年目に12カ月の納期で基本計画・基本設計・実施設計を作成。2年目当初に建設の諸手続きに入り、認可後18〜21カ月の工期で建設する。建築面積は約2,800uで延べ約5,500u。整備費は約90億円(施設約30億円、装置約60億円)、維持費年間約4.7億円(施設約0.7億円、装置約4億円)と試算している。
今後、8月中に整備計画素案を作成。9月府議会に諮り、同意が得られれば13年度予算の要求に組み込む。PFIなど民活による整備も検討の対象。隣接に移転予定の成人病センターは、16年度末の開院を目指しており、最先端がん医療施設も同時期の供用を目指す。