愛知県建設部は、豊川浄化センター(豊橋市新西浜町1ノ3)に下水汚泥を利用したバイオガス精製設備の導入を検討している。官民連携(PPP)による事業化を前提にしており、2012年度はPFIやDBOなど事業手法の検討を進める。
10〜11年度にわたり、学識経験者や関係市を交えた検討委員会を開催し、下水汚泥を減容化する過程で発生するバイオマス(再生可能な有機性資源)と地域で発生するバイオマスをバイオガス化し、エネルギーとして利用する可能性を検討してきた。
PPPを前提としているため、民間企業10社に事業採算性と環境負荷低減が両立するか、アンケートを実施した結果、6社から8システムの提案があった。下水汚泥に家庭ごみや食品残さを混ぜることで、より効率的にガスを発生させることが可能となるが、産業廃棄物と一般廃棄物を一緒に処理することが行政手続き上、想定されていないため、まずは下水汚泥だけでの事業化を前提に提案を評価した。
その結果、4システムが現在の汚泥処理よりもコストが安くなり、かつCO2排出量も減らすことができるとの結論を得た。精製したバイオガスは、ガス発電に利用するほか、企業や家庭にそのまま供給することなどを想定している。
事業手法の検討を担当するコンサルタントは、簡易指名型プロポーザル方式で、7月末に特定する。
豊川浄化センターの汚泥焼却炉は、現在3炉整備されている。1日当たりの処理能力は、それぞれ25d、40d、70d。
同センターでは、豊橋技術科学大学と共同で、家庭ごみや下水汚泥などのバイオマスから高品位肥料やバイオガスを生産する実証実験を行っている。このほか、衣浦東部浄化センター(碧南市港南町2ノ8ノ15)では、下水汚泥から炭化燃料を製造する施設をことし4月から稼働開始するなど、下水道施設が持つ可能性についても研究している。
提供:建通新聞社