北海道建設新聞社
2012/07/12
【北海道】旭川市が放置空き屋問題で苦情、相談窓口を一本化−庁内に連絡会議
旭川市は、倒壊や落雪などで周囲に危険を及ぼす恐れがある放置空き家の問題に対し、組織的な対応に乗り出した。苦情、相談の窓口を都市建築部内に集約し、市民対応を迅速化。情報の一元管理で実態把握を進める。庁内に「放置空き家等対策連絡会議」も立ち上げ、関係部署で情報共有を図り、放置空き家問題の増加を念頭に、条例化も視野に入れ対策を検討する。
2011―12年の冬は低温・多雪の影響を受け、建物の屋根などが一部損壊する事例が頻発。屋根に大量の雪が積もった空き家の近隣住民から危険性を指摘する苦情、相談が相次ぎ、その数は例年の倍以上となる58件に上った。
放置空き家は、雪の問題に加え、自然災害や経年劣化による倒壊・損壊などで近隣にも危険が及ぶ恐れと、放火、不法侵入、不法投棄など防犯上の問題が生じる場合もある。
今冬、寄せられた苦情物件の3割弱は管理の義務がある所有者が不明だった。このようなケースや所有者が対応ができず、安全上の問題が生じた場合の対策も課題だ。
市は、相談急増に加え、人口減少が続く中、放置空き家の問題増加が避けられないと判断。まちづくり面など多分野にわたり潜在的課題になるとして、組織的な対応に乗り出した。
7月1日付で庁内に8部11課2事業所で構成する連絡会議を発足。併せて市民対応の窓口を都市建築部の建築指導課建築安全推進係に一本化した。
これまでは、状況や内容により各課が担当。現地確認の上で所有者を調べ、適切な管理の要請などを行ってきた。しかし、情報が集約されず、作業ロスが生じる場合もあることから、窓口の固定化で市民対応の迅速化と実態把握を進める。
窓口の建築指導課では問題物件の対処に加え、空き家化の抑制や適正管理の促進を含めた対策が必要とみる。今後は条例化も視野に総合的な対策を検討していく。
全国的には放置空き家の急増などを背景に、10年7月に埼玉県所沢市が空き家の適正管理に関する条例を制定したのを皮切りに、全国の自治体で適正管理を条例化する動きが広がっている。