国土交通省庄内川河川事務所は、庄内川の洪水対策として、枇杷島地区(名古屋市西区〜清須市)の河道断面を広げ、併せて区域内の橋梁を架け替える枇杷島地区特定構造物改築事業のうち、堤防の位置をずらす「引堤」工事に、2014年度から着手する方針を明らかにした。12年度は引き続き、必要な用地取得を継続する。架け替えの対象となる愛知県道の枇杷島橋については、橋を所有している県と、管理している名古屋市との協議を進め、3者による事業協定を今後締結したい考え。
同事業は、00年の東海豪雨をきっかけに計画を開始した流下対策事業。同地区は河川がカーブした狭窄(きょうさく)部である上に、県道枇杷島橋をはじめとした桁下高の低い橋梁が集中している。このため同事務所は、引堤とともに、橋梁架け替えによる河道断面の確保を図る。
狭窄部の川幅は約180bで、引堤により約220bまで拡幅する。川幅を広げるのは主に左岸側で、川のカーブを緩やかにすることで増水時の越水を防ぐ狙いがある。
同事業に関連する橋梁は、上流部から順番に、名古屋鉄道の庄内川橋梁と県道枇杷島橋、JR東海道線・新幹線の庄内川橋梁。いずれも将来的には、現在より桁下高を高くして架け替えたいとしている。
県道枇杷島橋の架け替えは、管理を担当している名古屋市が実施主体となる。協定の締結後に設計を委託する見通し。既設橋梁は、橋長約180bで5径間の鋼橋。新たに整備する橋梁は、現在のところ3径間を予定している。
さらに、同橋の左岸側に接続する車道橋についても、県が主体となって改修する方針。整備範囲などについては今後協議を進める。
JRの管理する橋梁については、架け替えに向けて引き続き協議する。名鉄の橋梁は、他の2橋と比較してやや桁下高に余裕があるため、時期を見て整備を進めたい考え。
提供:建通新聞社