静岡県は、一筆ごとの土地の境界や面積などを明確にする地籍調査を促進するため、比較的調査が容易な上、災害発生時の迅速な復旧・復興の基盤となる道路の境界調査を先行して進めるほか、民間の土地取り引きなどで蓄積された土地情報を地籍整備に活用する。28日の県議会6月定例会で、県内の地籍調査の遅れを指摘した山田誠氏(自民改革会議)に対し、長島郁夫交通基盤部長が答弁した。
地籍調査は、一筆ごとの土地の境界や面積、所有者などを明確化し、登記簿に正確な地図情報を反映させるもの。災害からの復旧・復興やまちづくりの円滑な推進に地籍調査が大きな役割を果たす。1951年に制定された国土調査法に基づき、市町村が実施主体となって取り組んおり、2012年3月末時点の全国の進捗率が初めて50%に達した。
一方、県内での12年3月末時点の進捗率は22・7%(土地区画整理やほ場整備などで民間が作成した地図・簿冊で、大臣の指定を受けたものを含む)にとどまっている。 長島部長はその理由について、「沿岸部は市街化が進み、権利関係が複雑で筆数が膨大なため」と説明。一方、災害発生時の早期復旧・復興に、地籍調査の結果が大きな役割を果たすため、「比較的調査が容易で、迅速な復旧・復興の基盤となる道路などの境界調査を先行して進めるとともに、民間に蓄積された土地情報を地籍整備に活用する」との方針を示した。
県は11年度、国道1号の道路境界を調査する都市部官民公開基本調査を国に依頼して実施。この成果を基に12年度、主要国道の道路境界を確定する調査を促進する。また、静岡市が実施している官民境界先行調査を沿岸部で積極的に実施するよう、他の市町に働き掛ける。
民間の情報の活用については、県が12年度に創設した「地籍整備推進調査費補助金制度」の活用を促す。
民間事業者などが開発事業などに伴って作成した測量成果はこれまで、地籍整備に活用されていない。そこで県は12年度、地籍整備への活用に取り組む民間事業者に補助金を用意。民間団体の協力を得ながら普及促進に努め、民間の土地情報を公図に反映していく考えだ。
(2012/7/2)
建通新聞社 静岡支社