財務省東海財務局は、国家公務員宿舎の統廃合に向けて、管内にある宿舎の耐震性などを調査し、12月をめどに施設の現況を取りまとめる。全宿舎の老朽化度や耐震性を確認し、改修に要するコストを比較した上で、改修して今後も使用する宿舎と廃止する宿舎を選別する。廃止する宿舎は、同局が売却する方針。
同局が施設現況調査の主体となるのは、複数の省庁の職員が利用する合同宿舎と財務省宿舎。他省庁の出先機関も、それぞれ管理している宿舎について施設の現況確認を実施し、秋ごろをめどに東海財務局に提出する。
国家公務員宿舎の削減計画では、国有財産の有効活用と財源確保を目的に、2016年度までに全国の宿舎戸数を約21万8000戸から約16万3000戸まで減らす。約1万6000戸分は既に廃止が決定しているが、12月までにさらに4万戸分の廃止対象を選定しなければならない。
今後、16年度末をめどに入居者の退去を進め、廃止した宿舎を順次転用・売却していく。並行して、12年度までに実施した耐震性調査などに基づき、13年度以降に施設の維持管理計画を策定し、効率的な耐震・設備改修を進める予定。耐震改修などは、原則として宿舎を管理する各省庁の出先機関が発注する形を予定しているが、規模や件数に応じて中部地方整備局からの発注となる可能性もある。
東海3県内にある宿舎のうち、現時点で廃止が決定しているのは110カ所。1981年以前に建設された旧耐震基準の建物が中心となっている。このうち、東海財務局が管理するのは、合同宿舎8カ所と財務省宿舎3カ所。そのほかは、東海農政局32カ所、東海防衛支局28カ所、東海北陸厚生局21カ所、中部地方整備局16カ所、中部経済産業局2カ所。
東海防衛支局では、小牧・守山・豊川・岐阜の4地区で22棟の耐震性調査などを公告済み。有事の際に自衛隊員が迅速に出動できるよう、宿舎数の確保が必要となる。
東海農政局は、大半の庁舎が民間からの借り受け施設となっている。同局が管理している施設のうち2宿舎で廃止を検討している。
東海北陸厚生局は、現在のところ宿舎の追加廃止は予定していない。ただし、社会保険庁から引き継いだ5宿舎(東海3県内2宿舎)は売却する予定。
中部地方整備局では、引き続き旧耐震基準の宿舎を中心に、廃止対象施設の絞り込みを進める方針。
12月に廃止対象をいったん確定した後も、東海財務局は公務員宿舎の削減方針を継続するとしている。16年度以降に職員の利用状況などを見て、さらに宿舎の統廃合を実施する予定。
提供:建通新聞社