名古屋港管理組合は、同港内にあるコンテナターミナルの一元的な民営化に向けて関係機関と協議を開始した。同組合は、国やふ頭会社などで構成する名古屋港コンテナターミナル運営民営化協議会の第1回会合を25日に開催。複数のコンテナターミナルを一体的に運営する港湾運営会社のあり方について、メリットと課題を協議した。2012年度に協議を進め、港湾運営会社設置の是非を含めた方向性を取りまとめる。
同協議会では、11年に創設された港湾運営会社制度の枠内で、コンテナターミナルを一体的に運営する管理手法などを検討する。港湾運営会社が設立された場合、荷役機械などの整備を運営会社が担当することになる。港湾運営会社導入のメリットとしては、国有財産施設や、最大8割にもなる無利子資金の貸し付けなどが得られる。また、民間企業による一体的な施設管理により、効率的な物流拠点の形成・運営が可能になるとしている。
当面は、運営会社の設立に向けた課題やメリットをゼロベースで検証する。設立を決定した場合、運営会社を設置するまでのつなぎとして、13年をめどに特例港湾運営会社の指定を国土交通省に申請する。
協議会では、港湾施設の整備・管理・運営を行う際の権限や、責任のおよぶ範囲が議論の焦点となりそうだ。同港では、1970年に名古屋港管理組合と邦船社の共同出資で設立された名古屋コンテナふ頭(NCB)をはじめ、民間企業によるコンテナターミナルの運営が他の港湾と比較して先行している。既存のコンテナターミナル運営企業と新たに設立する港湾運営会社の役割分担などが課題になると見られる。
民間企業による港湾整備の事例としては、12年3月に完成した鍋田第3バースがある。同バースは、施設の借受者として指定された名古屋ユナイテッドコンテナターミナル(NUCT)がガントリークレーンなどの上物の発注主体となり、岸壁整備や航路浚渫を国が、地盤改良などを名古屋港管理組合が担当した。
民営化協議会の構成員は、港を整備・管理する行政機関と、コンテナターミナルを運営する企業・公社、関連団体など。内訳は、国土交通省中部地方整備局▽名古屋港管理組合▽NUCT▽飛島コンテナふ頭▽NCB▽財団法人名古屋ふ頭公社▽名古屋海運協会▽名古屋港運協会▽日本郵船(NCBに出資する邦船3社を代表)▽名古屋商工会議所▽一般社団法人中部経済連合会−となっている。
提供:建通新聞社