名古屋市住宅都市局は、計画途中で事業がストップしている守山区の「志段味循環型社会対応住宅」の今後の整備について、PFIなどの民間活力の導入を検討している。実現すれば、市営住宅や定住促進住宅でのPFI導入は同市で初めてとなる。現在は導入の可能性を検討するための調査を進めている。
同局は、守山区下志段味地区に「地球と人にやさしい住宅地」を基本コンセプトとした循環型社会対応住宅「エコビレッジ志段味」の整備を計画。定住促進住宅200戸を建設する計画で、第1工区の74戸の整備はすでに終えている。当初の計画では、第2工区、第3工区に残る126戸を建設する予定だった。しかし市の財政状況などの理由から、当初の計画通り建設を進めることが難しくなってきた。そのためPFIなどの民間活力の導入を検討することにした。
民間活力を導入するに当たり、当初の計画戸数から大幅に少なくし、その分民間施設エリアを設ける。当初は第2・3工区合わせて126戸を建設する計画だったが、地域優良賃貸住宅15〜30戸を建設することとする。コンセプトは当初の計画を踏襲し、「環境」「コミュニティ」「子育て」の三つの柱とする。民間施設エリアも基本コンセプトを踏まえて整備するため、福祉施設併存サービス付き高齢者住宅や分譲戸建て住宅などの民間事業者による整備を検討する。民間施設エリアについては、土地を売却か定期借地する考え。
対象となる第2工区は、すでに整備を終えている第1工区の東隣の面積約9100平方b。第3工区は第1工区の道路を挟んで南西のはす向かいの面積約1万平方b。
現在は、民間活力の導入可能性調査を三菱UFJリサーチ&コンサルティング(名古屋市中区)に委託して進めている。調査の委託期間は11月30日まで。委託業務では、PFIなど民間手法導入の手法と可能性を調査・検討する。ヒアリングなどで民間事業者の参入の意向を把握し、課題を整理して最適な事業方式、形態を検討する。その上で基本計画を作図し、土地を売却する場合も含めて概算工事費を算出する。
調査の結果を踏まえて市は今後の整備の方向性を決定し、事業者の募集を開始する。事業者を募集する際には、第2工区と第3工区を一括で募集する考え。具体的な決定時期や募集開始時期は現段階では決まっていない。今回の調査以外にも追加で調査が必要と判断されれば、別途委託する可能性もある。
提供:建通新聞社