【静岡】L1は余裕持たせた設定に―静岡県の設計津波高(2012/6/20)
L1は余裕持たせた設定に―静岡県の設計津波高2012/6/20 静岡版 掲載記事より
静岡県は、津波対策のハード面の基準となる「レベル1」(L1、100〜150年ごとに繰り返し発生する巨大地震)の設計津波高について、国の想定などに一定の余裕を持たせ施設の防御力を高めた設定を行う方針。巨大地震の発生から津波の襲来までの時間が極めて短いことが想定される県内では、避難までの時間を確保するため施設による防御が欠かせないと判断したため。18日に開かれた県津波対策検討会議の中で明らかにした。
県は現在、2013年6月の公表に向け、第4次地震被害想定の策定作業とともに、津波防御のための海岸・港湾・漁港・河川の施設高の検討を進めている。
設計津波高(L1)については、県内を14区域に区分した上で、過去の巨大地震による津波や現在の地震被害想定に加え、国による南海トラフの巨大地震モデル検討会による津波高の推計を基に、国や他県、市町、学識者などと調整して設定。今夏にL1対象津波群・地域海岸の方針を、今秋にL1津波水位・地域海岸を決定し、計画高潮高と比較した後、年内に必要な施設高を決める予定でいる。
国の津波対策に関する基本指針では、レベル1をハード対策の目標とする一方、レベル2(L2、1000〜数千年に一度まれに発生する可能性がある最大クラスの巨大地震)については避難で対応することとしている。
地震の発生から津波の襲来までの時間が短い想定の県内では、施設による防御力を高めない限り、地震発生から5分程度(距離200b程度)で高台などに避難することは極めて難しい。
そこで、県の設計津波高(L1)の検討では、避難対策が着実に実行できるよう、構造物などのハード対策に一定の余裕を持たせることにする。
7月に委託するシミュレーション(L1津波とせり上がり、河川そ上など)の結果を踏まえて施設高の詳細を固めるとともに、海岸・港湾・河川での防御方法や既存施設の粘り強い構造などを検討。この結果を今後の施設整備に反映する。
(2012/6/20)
建通新聞社 静岡支社