名古屋港管理組合は、北浜ふ頭(知多市)で新設を計画している名古屋港新食糧コンビナートに進出企業を誘致するため、関係行政機関で構成する検討会を立ち上げた。今後、税制上の優遇策や資金融資などの支援策拡大・整備に向けて調整を進めていく。支援体制を構築し、事業に一定のめどが立った段階で、進出企業の一般公募を行う予定だ。
同事業は2020年度を目標に、北浜ふ頭を埋め立てて、穀物貿易の拠点を整備する。名古屋港周辺に立地するサイロ・穀物関連工場は高度経済成長期に整備が進んだため、一部で老朽化や機能的陳腐化が進んでいる。同組合は、老朽化した食糧コンビナート群の移転集約を促進し、より効率的な貿易拠点を整備することを狙っている。同港は11年度に国際バルク戦略港湾に選定されており、コンビナートの新設は、港湾育成プログラムの一環として実施する。
同検討会の構成は、同組合のほかは経済産業省中部経済産業局、国土交通省中部地方整備局、愛知県、知多市、名古屋市となっている。今後、必要に応じて、進出意向企業が検討会に参加する可能性もある。
検討会では当面の課題として、新コンビナートに立地する穀物関連企業への支援体制を整えるため、既存の補助金・優遇措置などを整理し、新たな支援策のあり方を探る方針。補助金や税制上の優遇措置などについては、国が直接補助する体制も視野に入れて検討を進める見通し。
コンビナートの整備手法は、公設民営方式を想定している。現在のところ、泊地・桟橋・荷捌き地・用地などの整備を公共が担当し、荷役機械や一時保管サイロなどの整備をふ頭運営企業が担当する「上下分離方式」を中心に整備手法を詰める予定。用地は造成後に民間へ売却するとしている。
事業の推進体制としては、同検討会のほか、国際バルク戦略港湾推進協議会と連携港湾調整会議を設置している。推進協議会は、関係行政機関と穀物ユーザー(地元立地企業など)との合意形成を担当しており、港湾育成プログラムの取りまとめを行う。調整会議では、連携港湾である衣浦港と清水・田子の浦港で、物流効率化などに向けた情報交換を進める。
コンビナートの規模は約70fを予定している。北浜ふ頭の西側で、高潮防波堤(知多堤)の北側を埋め立てて用地を整備する。主要事業は、耐震岸壁や緑地、臨港道路の新設など。また、ポストパナマックス船に対応した、推進17bの泊地を整備する。
ハード面での取り組みとして、同組合は12年度に、環境アセスメント調査と土質調査、概略検討などを予定している。13年度以降で基本設計、実施設計を進め、早期の埋め立て免許取得を目指す。
さらに、同組合はコンビナート整備について、防災対策を重視していく。防災対策内閣府中央防災会議が南海トラフ連動地震による津波高さの想定を見直したことを受け、知多堤を含む高潮防波堤の補強手法を12年度に検討する。
提供:建通新聞社