北海道建設新聞社
2012/06/14
【北海道】道熱供給公社が新たな地域冷暖房施設を整備−本年度から3カ年
北海道熱供給公社は2012年度から3カ年で、新たな分散型エネルギー供給拠点となる「仮称・北2西4周辺地区地域冷暖房施設」を整備する。既存施設と連動した効率的なプラント運営と、非常時のバックアップ機能強化を図ることが狙い。4月に着工した仮称・札幌三井JPビルディングの地下3階に、天然ガスコージェネレーション活用型のシステムを構築するほか、札幌駅前通地下歩行空間にある既存の導管ピット内に、冷水導管を布設する。総事業費に十数億円を投じる。
公社が熱供給事業を展開する札幌都心地区は、南北がJR札幌駅南側から南1条、東西が創成川から西9丁目までの106ha。エリア内の複数の建物へエネルギーセンター(EC)から、導管を通じて冷熱や温熱を供給している。
都心地区には、1971年供用の東区北7条東2丁目にある「中央EC」をはじめ、JRタワー地下で03年に供用した「札幌駅南口EC」、04年に供用した中央区北1西6丁目のアーバンネット札幌ビルの地下にある「道庁南EC」の3カ所の拠点があり、全てのECで天然ガスを主原料としている。
公社は一定規模の再開発などに合わせてエネルギー供給拠点の設置を進めてきた。天然ガスコージェネレーションを中心に、環境負荷低減と省エネルギー化に取り組んでいる。今回の新施設も、再開発に連動するもの。
12年度は10月にも、地下歩行空間の導管ピット内に、延長250m、口径400_の冷水導管を送り用と戻り用の2本整備。13年度にプラントを製作・据え付け、14年度4月からの試運転を経て8月の供用開始を目指す。
今回は約1500m²の広さに、蒸気吸収冷凍機や温水蒸気吸収冷凍機、ターボ冷凍機、貫流ボイラ、排熱ボイラ、ガスエンジン発電機などの設備を配置する。
新施設からは、札幌三井JPビルに電気、蒸気、温水、冷水を、地下歩行空間の導管を通じ駅前通沿いのビルなどに冷房用の冷水を供給。これにより、建物ごとの冷凍機設置が不要となるため、各ビルの省スペース化、省コスト化につながる。
温水や蒸気は既存ECが供給する分で賄われているが、これらの更新時期などをにらみながら、新施設でも設備増設を図り、各施設で機能を補完し合いながらエネルギーを供給していく体制を構築する。
全ての工事を一括し、このほど複数社が見積もりを提出した。6月末にも単体企業と契約する。