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建通新聞社(静岡)
2012/06/13

【静岡】浜松市沿岸の防潮堤整備に寄付―一条工務店

 一条工務店グループ(浜松本社・浜松市西区大久保町1227ノ6、宮地剛社長)は、浜松市沿岸域の防潮堤整備に関して300億円を静岡県に寄付することを決め、11日、県と浜松市、同社の3者が基本合意に達した。川勝平太知事と鈴木康友浜松市長が合意内容を発表し、川勝知事は「一条工務店の志に深く感謝したい。そのためにも、現在策定中の第4次地震被害想定と並行し、遠州灘に土堰堤(えんてい)を整備するための検討を進め、1日でも早く着工したい」と述べた。
 3者の間で基本合意したのは、@一条工務店グループが、県が浜松市沿岸域の防潮堤整備に用いる費用として、2012年度に100億円、工事の進展に応じて13年度以降の2カ年で各100億円の合計300億円を寄付A県はできるだけ早い時期に防潮堤の整備に着工し、これを完成させる。工事対象区間は浜名湖入口東岸〜天竜川西岸の延長約17・5`。防潮堤の規格は、県の第4次被害想定の前提となる津波高を上回る高さを確保し、十分な安全が確保できる構造・強度とする。
 また、B県は馬込川河口部の津波対策として、水門整備など必要な対策を迅速に行うC浜松市は防潮堤整備に必要な土砂を確保するとともに、地域住民の協力・理解促進のため県と協力して住民や各種団体などに説明を行う―の4点。
 対象区間では、天竜川左岸から馬込川にかけての延長約2`区間に海岸堤防がある。そこから西側の区間は高さ(海抜)9〜10b、幅約130bの保安林があり、第3次被害想定に基づく津波高と高潮高を上回っているため、海岸に構造物は設置していない。しかし、3月末に発表された南海トラフの巨大地震では、同沿岸に高さ14bを超える津波が想定されるなど、新たな対策が必要と見込まれている。
 そこで県では、今回の寄付金を基に、対象区間の保安林(土堰堤)を土砂で嵩上げするとともに、H鋼などで「粘り強い構造」に補強することを検討する。同沿岸に整備している自転車道に沿って、堰提を高くすることを想定しており、今後、被害想定の検討と並行して堤防(堰提)の高さや構造、費用などの調査・検討を進める。
 さらに、愛知県域までを対象に保安林の整備内容などを定めている「遠州灘沿岸海岸保全基本計画」の見直し、馬込川河口に設置する水門の構造や規模などの検討を行っていく。
(2012/6/13)
建通新聞社 静岡支社