建通新聞社四国
2012/06/12
【徳島】7月下旬に最終方針 海部病院整備検討委
徳島県立海部病院の整備方針を検討する委員会の第3回会合が6日、同病院で開かれ、これまで話し合われた現病院を取り巻く現状と課題や新病院の整備に向けた基本方針の考えなどを踏まえ事務局(県)がまとめた整備方針の素案(中間とりまとめ)について議論した。今後は20日までに中間とりまとめ案を作成し、県議会の文教厚生委員会などに示した上で、7月初旬からパブリックコメントを実施。これらの意見も反映させた上で同下旬に開かれる最終の委員会で整備方針をまとめることにしている。
会合では、まず事務局が中間とりまとめの基本方針と中間とりまとめ(素案)の概要について説明。これまでの委員会での議論を踏まえ、基本方針として「安全・安心な医療の提供」「高齢化による疾病構造の変化などへの対応」「災害時における医療体制の整備」「地域医療を担う人材の育成」を挙げ、担うべき主要機能として@救急医療A災害医療B感染医療Cへき地医療・地域の医療機関との連携D周産期医療Eがん医療F回復(亜急性)期などの医療G地域医療研修機能(順不同※一般医療も当然含む)―を盛り込むとした。
具体的には診療科目を内科・小児科・外科・整形外科・脳神経外科・産婦人科・耳鼻咽喉科・放射線科・泌尿器科・皮膚科、総合診療科とし、現状をベースとする。病床数は現病院の110床を基本とし、病棟の構成についても現病院の病床種別(一般病床102床、結核病床4床、感染症病床4床)を基本に、急性期以外の地域の医療ニーズ(回復期など)や町立病院との役割分担、将来の診療報酬の改定などに柔軟に対応できるような病棟構成を検討することにしている。
また、施設整備の方針に当たっては、「災害に強い、安全で安心な施設」(被災患者受け入れ・治療などのスペース確保、高齢化などの地域性に配慮)、「快適な療養環境の施設」(病床1床当たりの十分な面積確保)、「地域に開かれた施設」(地域住民と医療従事者の交流の場づくり)、「環境にやさしい施設」(自然環境・省エネに配慮)、「働きやすい機能的な施設」(医療従事者の機能的な動線などに配慮)―を挙げた。これらの素案については、今後より経営面の観点で精査され、最終的に確定させることにしている。
同事業は、県南地域の災害拠点病院としての役割を担う同病院について、県が抜本的な津波対策として国の地域医療再生臨時特例交付金を活用して津波被害を受けない安全な高台への移転改築に取り組むもの。計画地の確保と造成までは牟岐町が担当。計画地として国道交通省が整備を進めている牟岐バイパス沿線の高台(同町杉谷地区)約1・5fを見込み、準備が進められている。
7月下旬の整備方針のとりまとめを受け、県は今秋から着手予定の建築基本・実施設計(設計者選定も含め)にそれらを反映させていく考えだ。
既存の病院施設は鉄筋コンクリート造4階建て(塔屋付)の本館棟と2階建ての別館、3階建ての厚生棟で構成し総延べ床面積は7586平方b。医師公舎などの建物は総延べ1202平方b。まだ、整備方針については今後も検討が図られることになるが、病床数など現状の機能をほぼ確保した改築の場合、新病院の床面積は現状よりかなり増床する見通し。