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建通新聞社(静岡)
2012/06/08

【静岡】基本構想素案と総合特区提案の方向示す―内陸のフロンティアで静岡県

 静岡県は6日、「内陸のフロンティア」を拓く(ひらく)推進会議の本部員会議を県庁内で開き、具体的な取り組みの方向を盛り込んだ全体構想素案と、国に提案する総合特区の方向を示した。全体構想で、防災・減災機能の充実・強化や地域資源を活用した新たな産業の創出・集積など四つの基本目標を設定し、内陸部のイノベーションや都市部のリノベーションなど三つの戦略を提示。総合特区の中で土地利用規制に関する特例措置などを提案した。
 今後、市町との協議などを行った上で、8月末をめどに全体構想を策定。並行して特区申請に必要な地域協議会を立ち上げ、指定申請を9月中に行う。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みは、基本目標として@防災・減災機能の充実・強化A新しい産業の創出・集積B新しいライフスタイルの実現の場の創出C暮らしを支える基盤の整備―の四つを設定するとともに、▽内陸部のイノベーション▽都市部のリノベーション▽多層的な地域連携軸の形成―の三つの戦略を打ち出した。
 内陸部のイノベーションでは、基幹的広域的防災拠点としての富士山静岡空港の整備や、成長分野や物流関連の企業立地の促進、家・庭一体に住まいづくりによる快適な暮らし空間の実現に取り組む。
 都市(沿岸)部のリノベーションとして、地震や津波、風災害に強い社会基盤の整備や緑地空間の確保による魅力ある都市空間の形成、エネルギーの有効利用の推進、既成市街地の更新など都市機能の活性化を挙げた。
 地域連携軸の形成では、緊急輸送路の耐震化など災害に強い社会基盤整備の推進、高規格幹線道路と地域を結ぶ幹線道路の整備による道路網の充実などを進める。
 一方、こうした取り組みを進める上で、内陸部の土地利用に関する規制などが大きな制約となる。そこで、国に対して総合特区を申請する。
 対象区域は、新東名のインターチェンジ・サービスエリア・パーキングエリアの周辺とし、その範囲を今後詰める。
 具体的な提案として、農用地区域外・農地転用許可や、市街化区域への編入など迅速な土地利用調整を行う特例措置の創設を掲げた。さらに、▽防災集団移転促進事業の復興特区と同様の特例措置への拡充▽新エネルギーで発電した余剰電力を一定区域内で融通できる制度の創設▽太陽光発電や小水力発電の設置に伴う主任技術者の要件などの緩和▽太陽光発電や植物工場を耕作放棄地に農地のまま設置できる農地転用許可の特例―などを求める。
(2012/6/8)

建通新聞社 静岡支社