静岡県は、農業用水を活用した小水力発電の導入促進で、伊達方地区の事業化に向けた基本計画(事業実施計画)を策定する。これに向け、発電施設の設計業務2件を6月中にも公募型プロポーザル方式で発注する。契約手続きは県中遠農林事務所が担当する。
伊達方地区では既に概略計画(概略設計)をまとめており、これをベースに「2012年度地域用水環境整備事業伊達方・西方発電所地区測量設計委託その1」(掛川市伊達方)と「2012年度地域用水環境整備事業伊達方・西方発電所地区測量設計委託その2」(菊川市西方)の2件の業務を委託。発電施設の構造や規模などを12年度末までに実施設計にまとめる。並行して水利権の協議調整などを進めていく。
また、採算性があり実現性が高いと判断している大井川用水地区(島田市ほか)と大井川右岸用水地区(掛川市ほか)の2地区で、発電計画や施設構造の検討などを行って概略計画をまとめる。
それぞれの用水路ごとに、電力需給計画や概算事業費、発電形式の検討などを行い、事業化の可否を判断する際の基礎資料とする。
9月末までに概略計画を策定した上で、地元調整を進めていく考え。
小水力発電は近年、低落差・小水量でも可能な技術開発が進み、設置コストも安くなりつつある。そこで県は、農業用水を活用した小水力発電の導入を積極的に促すことで、施設の維持管理費を軽減するとともに、再生可能エネルギーの安定供給や新たな産業の創出を目指す方向を打ち出した。
実現可能性の調査・検討と並行し、民間事業者らも参画している「農業用水を活用した小水力等利用推進協議会」で県独自の設置・運用に関するガイドラインを12年度中にまとめ、適正で円滑な小水力発電の導入を進めていく方針だ。
(2012/6/4)
建通新聞社 静岡支社