建通新聞社
2012/06/01
【大阪】大阪府 最先端がん医療施設整備 検討委員会開始 8月中に整備計画素案 民活も視野
大阪府は、府立成人病センターの大手前地区移転改築に連動する粒子線治療等最先端がん医療施設整備について、本格的検討を開始した。最先端がん医療施設整備検討委員会を設置。5月31日に第1回委員会を開いた。委員長には大阪大学大学院の小川和彦医学系研究科教授が就任。施設規模や整備スケジュールなどを検討し、8月中に整備計画素案を作成。9月府議会に諮る考えだ。PFIなど民活による整備も視野に入れる。
整備候補地は、大阪市中央区大手前3丁目。成人病センター移転予定地(東成区から)の東側で、道を隔てて大阪城公園に隣接する。面積は約9,000u。
第1回委員会で、大阪府は施設規模、事業費、安全性などについての調査結果を委員に示した。
最先端のがん治療施設は3種類ある。「陽子線治療」では、建築面積約1,800uで整備費約80億円(施設約30億円、装置約50億円)、整備期間約5年間(建設3〜4年間)、維持費年間約4億円。「重粒子治療」では、建築面積約3,400uで整備費約135億円(施設約40億円、装置約95億円)、整備期間約5.5年間(建設3〜4年間)、維持費年間約6億円。BNCT(中性子捕捉療法)は、研究段階で実用化された施設はないため、「施設内容は不明」とした。
これに対して委員からは、「設備の低価格化が進んでいる」「療法別の施設規模はそれほどの差はない」などと指摘があった。
施設整備への民活導入について府は、「聞き取り事業者のうち3社が“導入の可能性がある”と回答した」とし、選択肢の一つと説明した。
委員会での検討事項は、@最先端がん医療施設の内容A安全性B人材確保と育成C施設の運営体制D各種法規制E事業収支−などの検討。整備計画素案には、▽施設規模▽事業費▽安全性▽患者数▽収支計画▽施設運用体制▽整備スケジュール▽今後の課題−などを盛り込む。
隣接に移転予定の成人病センターは、PFI(BTO方式)により事業者を選定する。11月下旬に落札者を決定。2016年度末の開院を目指す。
委員会で府立成人病センターの関係者は、今回の計画について「立地も良く、大都市型でキャンサー(がん診療に携わる全職種が一同に会する)機能を有するすばらしい施設になるだろう」と期待を示した。