静岡県は、再生可能エネルギー固定価格買取制度の7月の開始に先駆け、民間事業者の新エネルギー導入を促すための新たな取り組みを6月にスタートする。2012年度に創設した事業者向けの新エネルギー導入に対する助成制度で補助金申請の募集を始めるとともに、県ホームページで「メガソーラーの適地情報」を公表する。
「新エネルギー導入促進事業費助成(事業所用太陽光発電設備等分)」は、事業者の新エネ導入を支援するために創設した制度。事業所に太陽光発電設備などを設置する際の事業費の10分の1(上限100万円)を事業者に補助する。
県はこれまで、県内の中小企業などが出力10`h以上の太陽光発電装置を設置する場合、太陽光発電以外の省エネ設備か新エネ設備を同時に導入することなどを条件に、国の制度を活用して設置費用の一部を補助してきた。しかし、新エネルギーの導入をさらに促すため、県独自に補助金制度を用意した。
同制度では、太陽光発電だけでなく、小型風力(5`h以上)や中小水力(3`h以上)も補助の対象とする。12年度の補助件数は全体で100件。
補助申請の窓口については、住宅用の太陽光発電と同様、県地球温暖化防止活動推進センターが担当する。
「メガソーラー適地の情報を順次更新して公表へ」
また、民間事業者によるメガソーラーの導入を加速するため、適地(建設候補地)の情報を県のホームページで公表する取り組みも始める。
県内では、中部電力が清水港臨港地区内で、鈴与商事が清水港近隣の倉庫の屋根で、三立木材が浜松市天竜区春野町地内の同社所有地でそれぞれメガソーラーの建設を事業化するなど、民間事業者による取り組みが本格化している。
固定価格買取制度がスタートすれば、民間事業者が公有地や民有地(耕作放棄地など)を活用してメガソーラーを設置することが考えられるため、県は、利用していない一定規模以上の県有地や市町の所有地、民間の耕作放棄地などの情報を収集し、建設候補地としてホームページで広く公表することにした。
現段階で詳細は明らかになっていないが、開始時に面積約2f以上の候補地を10カ所以上提供する見通し。候補地の情報は順次更新し、民間事業者の“需要”に対応する方針。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度=再生可能エネルギーによって発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるもの。調達価格(電気事業者の買取価格)が太陽光で1`h当たり42円、風力で同57・75円(20`h以上は23・1円)、地熱で同42円(1・5万`h以上は27・3円)、中小水力で同35・7円(200`h以上1000`h未満が30・45円、1000`h以上3万`h未満が25・2円)などと固まり、採算に一定のめどが立ったため、民間事業者による事業化の動きが注目されている。
(2012/6/1)
建通新聞社 静岡支社